便秘や口臭、肌荒れは腸が原因!セルフケアでできる腸活9つの習慣

さまざまな不調に共通しているのが「腸」。腸内フローラ(腸内環境)には、多くの細菌があります。善玉が多いと腸が整い、ダイエットや美肌、幸せホルモンができ、悪玉が増えすぎると口臭や肥満、便秘などの原因に。今すぐできて効果的な腸活をご紹介します。

腸内フローラの図

実はすごい腸の影響! あなたの不調は原因は腸の乱れかも

腸内フローライラスト

「おなかが張ってツライ」「もう何日もお通じが……」そんな悩みを抱えた方はきっと多いでしょう。しかし、お通じ以外にも「口臭」や「肥満」、「肌荒れ」、さらには「イライラする」「抑うつ」といった症状も「腸」が関係していると知っていましたか?

腸とは、「小腸」と「大腸」の総称。胃から入ってきた食べ物は、小腸が栄養分の吸収と消化、大腸が水分の吸収と排泄を担当しています。からだの中でも密接に外の世界と関わっている臓器。食べ物や飲み物を通じて、病原菌やウイルスが入り込んでくる場所でもあります。そのため、常にからだを防御するように鍛えられている器官でもあり、腸の健康が、からだ全体の健康に影響するといわれています。

また、緊張してくるとおなかが痛くなることはありませんか? これは腸に、気持ちや感情に作用する神経細胞が多いため。「第二の脳」と呼ばれている所以です。

そんな心とからだの健康に影響している実はとても大事な器官・腸。近年、研究が進み、腸内のさまざまなことがわかってきました。そんな腸のことを知るために、「腸内細菌外来」を全国に先駆けて設立した山下病院の泉千明先生にお話を聞きました。

おなかの中にお花畑? 約1000兆個の細菌が住んでいる!

腸内フローライラスト

腸の中には、500~1000兆個の細菌が棲んでいます。細菌の種類は1000種以上もあるとされ、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つのグループに分けられます。いろいろな種類の細菌たちで溢れている状態を、お花畑に例えて「腸内フローラ」と呼びます。

「多種多様な細菌がバランスよく賑やかにある状態が健康な腸内。腸を健康に整えることは、腸内細菌を育てることなのです」と泉先生。

おなかの中で腸内細菌を飼っているイメージをしてください。細菌のエサは私たちの食べたもの。善玉菌はそのエサから、からだに必要なエネルギーや代謝物をつくります。しかし、悪玉菌ばかりが多いと有害なものを多く生み出してしまいます。

細菌イラスト

おなかの悩みで最も多い「便通」を例に挙げて考えてみましょう。エサを取り尽くしたカスや有害なものがある程度溜まると、便となって出て行きますが、腸が乱れているとスムーズに出ず、長い時間留まり、悪玉菌がさらに増えて、有害な物質が血液からからだ全体に運ばれていくという負の循環が起こるのです。

からだによい働きをしてくれる善玉菌を上手に育てることが、健康な腸への近道。腸内に住む細菌の種類は生まれた地域や普段の食生活によって違っています。残念ながら、自分のからだの中に棲んでいない菌をつくることは困難です。しかし、必要な菌を取り入れて「お客さん」として腸の中に留まらせることはできると先生は言います。そのためには、腸内環境を整えて健康な心身を手に入れる「腸活」がおすすめ。腸のために、食生活や生活習慣を見直すことが重要です。

意外と簡単! 今日から始められる腸がよろこぶ9つのこと

【1】何でもいいわけじゃない? 自分に合うヨーグルトを探そう!

ヨーグルト

ヨーグルトに含まれている菌は乳酸菌やビフィズス菌とさまざま。自身の腸内に足りていない細菌が含まれているものを食べることが大切です。約2週間食べ続けて効果がなければ残念ながら意味がないので、種類を変えて合うものを探しましょう。

【2】日本人の伝統食・和食は腸内細菌の好物が多い!

和食

腸内細菌の好きな食事はなんとご飯に味噌汁、納豆にお漬物などの「和食」。発酵食品の味噌や納豆は善玉菌のエサになる乳酸菌、麹菌、ビフィズス菌を増やしてくれます。白米に大麦などの雑穀を混ぜるとより腸内細菌好みに!

【3】細菌の好物は食物繊維。特に好きなのは……。

食物繊維

腸の乱れによる不調の悩みで多いのが「便通」ですが、効果的なのは食物繊維を摂ること。食物繊維には「水溶性」と「不溶性」があり、どちらも大切ですが、特にりんごやごぼう、わかめなどの果物や根菜類、きのこ類、海藻類に含まれる「水溶性食物繊維」が善玉菌の大好物です。毎日の食事にプラスしていきましょう。

【4】人工甘味はNG! 糖分はオリゴ糖で摂ろう

オリゴ糖

人工的な糖類は、栄養素が少なくさらに悪玉菌を増殖させてしまうので摂りすぎは注意。なかなかダイエットが成功しないのはこのためと考えられています。甘味料には、胃で消化されにくく、腸でビフィズス菌などの善玉菌のエサになるオリゴ糖、はちみつや甘酒など、自然由来の甘みがおすすめです。

【5】小まめな水分補給も大事! 腸の活動時間に飲もう

水分補給

「トイレが近くなるから……」と飲み物の回数を減らす方がいますが、実は逆効果。水分が少ないと便が硬くなってしまい、お通じを悪化させます。また、朝起きてすぐは腸の活動時間です。起き抜けのお水が腸の活性化を助けます。

【6】毎日は大変……。サプリメントで補うのも時には大事

サプリメント

食物繊維やオリゴ糖がからだによいとはいえ、毎日食べ続けるのが大変なのも事実。そんなときはサプリメントを上手に使うのも大事なことです。毎日のバランスよい食事にプラスして補いましょう。

【7】あなたのリズムが細菌のリズムに。規則正しい生活を送ろう

生活リズム

人に生活リズムがあるように、腸内細菌にも習慣があります。バラバラの食事や起床時間では細菌のリズムも狂ってしまい、上手に働けません。決まった時間帯に寝起きし、3食欠かさず、便意がなくても同じ時間にトイレに行く習慣をつけましょう。

【8】トイレでは“考える人”になろう

考える人

トイレでの理想的な座り方は、有名な彫刻家・ロダンの「考える人」。座った人間の腸は横から見ると「くの字」に曲がっていて便が出にくい状態。少し前かがみになると腸がまっすぐになり便通がスムーズになります。さらに踏み台などを使って足を上げるとなおよし。

【9】適度な刺激が必要。運動やマッサージをしよう

運動

適度な運動やマッサージで腸に刺激を与えるのも必要です。普段の生活にちょっとした運動を取り入れましょう。「ベンチステップ運動」とよばれる、階段など、20cmほどの高台に片足ずつ登り、また片足ずつ降りる運動が手軽にできておすすめです。降りるときは後ろ向きのため十分にご注意を!

腸活の基本は続けること! 日々の習慣を見直しましょう

細菌のイラスト

「腸活」と聞くと、なんだか大変そう、続かなさそう……と思っている方も多いかもしれません。しかし、実は難しいことは特になく、毎日の生活習慣や食事を見直すことですぐに実践できます。起床時間や食事の時間を規則正しく過ごしたり、食生活を見直して和食を中心に、食物繊維やオリゴ糖を積極的に摂るようにするなど、その1つひとつはなにも特別なことではありません。そして何より大切な腸活の基本は、毎日続けて習慣にすること。日々の生活を振り返って腸のよろこぶことをしましょう。

k_MG_4099

泉 千明先生

医療法人山下病院消化器内科医長、健診センター兼務。2018年1月より全国で初となる腸内細菌外来を開設。全国から訪れる患者の腸内細菌の構成を調べ、管理栄養士とともに食生活や生活習慣を指導している。

◎合せて読みたい→ 幸せになれる食事があった! 人生が変わる開運ごはんのススメ

(イラスト・稲生千保)

planmake_niimi

取材・文=新見麻由子
にいみまゆこ●月刊『茶の間」編集部員。徳島県出身、歴史や文化、レトロなものに憧れて京都へ。休みの日は、散歩や自宅でお茶を片手に本を読みながらまったり過ごしたい。季節を感じる和菓子やお花に興味がでてきた今日この頃。