むくみ・不眠・心の疲れ…不調はツボを温めてセルフケアしよう

忙しい女性の多くが抱える「なんとなく」のからだの不調は「気」のめぐりが悪くなっているからということもあります。気のめぐりを正常にするのに効果的なのが「ツボ」の刺激。自分ですぐ簡単にできる「温めるだけ」のツボ刺激で不調を改善しましょう。

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悩める女性の不調の症状、特に「むくみ・だるさ」、「目の疲れ」、「眠りのトラブル」、「心の疲れ」そして「美容ケア」に効果のあるツボを、お灸専門の治療所「新町 お灸堂」の鋤柄(すきから)院長にそれぞれ2つずつ教えてもらいました。ツボを見つけやすいイラストで解説。おうち時間を利用して自分自身を温めて、からだと心をケアしてあげましょう。

セルフケアはおうちにある「アレ」で温めるだけでできる!

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「セルフケア」や「ツボ」と聞くと、「なんだか専門的な知識がないと難しいのでは?」「ツボを押すと痛そう……」と考える人もいるかもしれません。ですが、実はご自宅にあるもので温めるだけで簡単に始められるのです。「アレ」とはドライヤーや温タオル。もちろんお灸も効果的ですが、他にも温かい飲み物を飲むことやお風呂に浸かるのだって十分な養生なのです。重要なのはからだを冷やさず温めること。また、ツボは押すよりも温めるほうがおすすめ。ドライヤーや温タオルを使えば、簡単に適切な刺激をツボに与えることができます。

【悩み①むくみ・だるさ】
からだの巡りは清らかな〇〇と同じ!流れを整えよう

からだのむくみやだるさ、気分の落ち込みといった、梅雨などの天候の変化による湿気が悪影響を及ぼした症状を、東洋医学では「湿邪(しつじゃ)」と呼びます。湿邪は、湿気だけでなく、蒸し暑い時期に摂りがちな冷たい飲食物も原因。からだが冷えてめぐりが滞(とどこお)ると、湿邪を助長してしまいます。〇〇とは「川」。川の清流も、滞ると淀んでしまいますよね。むしろ蒸し暑くても、温かいお茶などでからだを温めるようにしてみましょう。同時に、汗やお小水として、体内の湿気の排出にも期待ができますよ。

【陰陵泉(いんりょうせん)】
むくんでいる人は少し痛いかも

陰陵泉

ひざの皿の下にある内側のくぼみから、指4本分下のあたにあるツボがおすすめ。スネの骨のアーチの内側にあります。むくんでいる人は指圧すると痛みを感じうことも。からだの余分な湿気を排出し、湿気が原因のむくみやひざ痛、消化器トラブルにも効果的です。

【水分(すいぶん)】
お腹の冷えは下痢やむくみの原因に

水分

おへそから親指1つ上のあたりにあるツボは、字の通り、水分に関係します。お腹が冷えてめぐりが悪くなると、下痢やむくみの原因に。お風呂で温めたり、普段から衣服に気を配って冷えないようにすることも大切です。

【悩み②目の疲れ】
読書やスマホで疲れた目を癒そう

夕方になると、目がかすんで文字が読みにくい……。目が疲れた状態では、読書を楽しんだりスマホを眺めたりという気持ちにもなれませんね。そんなときはツボ刺激を試してみてください。血液やリンパのめぐりをよくするツボは、目の悩みに対して即効性を発揮します。目には頭まわりのツボが効果的ですが、頭は筋肉が薄くデリケートなので、軽い指圧や温タオルでの優しい刺激を意識しましょう。

【聴会(ちょうえ)】
目をすっきり、開きやすくしよう!

聴会

左右の耳の穴の前にある耳珠(じじゅ)という突起の前側のくぼんだ辺りにあるツボ。押さえると脈拍が感じられます。左右同じように押しても、目が疲れている側のほうがズンと響くように感じることも。やさしくほぐしたり、ドライヤーの温風で温めたりするのがよいでしょう。

【風池(ふうち)】
眼精疲労からくる肩こりに

風池

首の左右にある筋肉を頭の生え際のほうに上がった、くぼみにあるツボ。目の疲れ、目の疲れからくる首のこりに効果があります。ツボを目の方向に押したり、お風呂や温タオルで温めてください。

 

【悩み③眠りのトラブル】
快眠のコツは「下半身のめぐり」と「寝る〇〇」!

夜中に何度も目が覚める、朝早くに起きてしまう、寝ても疲れが取れないといった悩みがある人は、夜寝る前に下半身を温めるのがおすすめ。血流がよくなれば、からだが自然に眠りの状態へと向かいます。また実は、疲れたままだと良質な睡眠は得られません。寝る90分ほど前にお風呂に入ったり、ストレッチをしたりツボを温めたりして、「ひま」な状態をつくること。つまり、寝るための「体力」を回復させてから布団に入ってください。

 

【失眠(しつみん)】
足湯で温めると最適!

失眠

足の裏のかかとの中心にあるツボ。かかとに縦と横の線を引いたとき、直角に交わる辺りです。目がさえてなかなか寝つけないときは、足湯などで温めて刺激を与えてください。足のむくみにも効果が期待できます。

【肝兪(かんゆ)】
お風呂でリラックスしてみて

肝兪

まず背中の左右の肩甲骨の内側と背骨の間に線を引きます。次に左右の肩甲骨の下端どうしを線で結びます。それぞれ左右で直角に交わった地点から、さらに少し下辺りにあるツボです。神経の高ぶりを抑えてくれます。お風呂で温めたり、誰かにほぐしてもらったりしましょう。

【悩み④心の疲れに】
表裏一体!心が消耗するとからだに不調が…

心身一如(しんしんいちにょ)といって、東洋医学では心とからだは一対のものとされています。精神が疲弊するとからだの調子は悪くなり、その逆も然りということです。精神面では、気(心)は消耗するものなので、必要以上の気は使わないように。身体面では、散歩などの適度な運動がおすすめです。

【百会(ひゃくえ)】
頭をすっきりさせたいときに

百会

耳を結んだ線と、鼻から後頭部を結んだ線が交わる辺りの頭頂部にあるツボ。つむじとは限らないのでご注意。頭がスッキリしないとき、リフレッシュしたいときに、温めたタオルやドライヤーの温風でやさしく刺激を与えてみてください。

【身柱(しんちゅう)】
ドライヤーで温めてリラックス

身柱

頭を前に倒したときに、最も出っぱる背骨から、背骨の盛り上がり3つ分下がった所。3つ目と4つ目の背骨の間にあるツボです。指圧が難しいので、ドライヤーで温めてください。昔は子どもの癇癪(かんしゃく)のときにお灸をすえたツボで、背中のこわばりが緩み、大人もリラックスできます。

【悩み⑤美容ケア】
ツボは美容にも効果ありセルフケアで美しくなろう

肌質の改善や若返りといった「美容ケア」の多くは、血流やリンパなど、めぐりの改善を目的としています。「ツボ刺激」もまた、めぐりをよくするためのもの。つまりツボ刺激は美容効果にも期待ができます。今回紹介するツボだけでなく、こりや冷えを感じるツボはめぐりが悪くなっているところです。めぐらせて健康と美容を手に入れましょう。めぐりがよくなると、肌つやの改善や目が開きやすくなるなどの効果が。このような変化を東洋医学では「望診(ぼうしん)」と呼んで体調の変化の手がかりにしています。鏡を見るなど、ぜひセルフチェックしてみましょう。

【下関(げかん)】
フェイスラインをすっきりと

下関

左右のほお骨の下側を指で耳のほうへ辿っていくと、耳の手前あたりで骨が弓なりに弧を描いているのがわかります。そのアーチの下側のくぼみにあるツボです。フェイスラインのたるみ取りや、噛みしめ癖やあごのこりをほぐすのにおすすめです。

【大巨(だいこ)】
目元のくすみや肌荒れ、テカリに!

大巨

おへその指3本分下のところから、さらに左右へ指3本分外側のあたりにあるツボ。目元のくすみや肌荒れ、肌が脂ぎって熱っぽくなりやすい方に。特に、このツボは押すのではなく、温めて優しく刺激を与えるようにしてください。

今すぐできる「温めるだけ」のセルフケアで心とからだを癒そう

病気ではないけど現れる症状は、からだからの不調のサインです。もっと悪くなって、本当に病気になってしまう前に、セルフケアしてあげましょう。自宅にあるドライヤーや温タオルを使って、ツボを温めて刺激してあげるだけで滞っていた気のめぐりがよくなり症状が改善されます。

ストレス社会に生きるオトナ女子が抱える5つの悩みに効果のあるツボをそれぞれ2つずつご紹介しましたが、いかがでしたか?「むくみ・だるさ」、「目の疲れ」、「眠りのトラブル」、「心の疲れ」そして「美容ケア」 。どれもポイントは「温める」こと。寝る前や休日のちょっとしたおうち時間に、自分自身をやさしく温めてあげて心とからだをケアしてみましょう。

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新町 お灸堂
鋤柄誉啓(すきからたかあき)院長

愛知県出身。明治鍼灸大学を卒業後、京都市内の鍼灸院勤務を経て2013年に「新町 お灸堂」を開院。さまざまな方法でお灸文化を発信している。

新町 お灸堂
【住所】京都市下京区新町通正面下ル平野町787-1
【電話】075-203-7601
【営業時間】10:00〜21:00
【定休日】木曜・祝日
【HP】http://okyudo.com
※完全予約制

(写真 岡森大輔/イラスト 稲生千保)

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取材・文=新見麻由子
にいみまゆこ●月刊『茶の間」編集部員。徳島県出身、歴史や文化、レトロなものに憧れて京都へ。休みの日や育児の傍らに、散歩や自宅でお茶を片手に本を読みながら過ごすのが趣味。季節を感じる和菓子やお花に癒される日々。