セルフケアで免疫力アップ!知っておきたい専門医おすすめ食品とは?

ウイルスや細菌からからだを守ってくれる免疫。その重要性が高まっている今だからこそ、改めて知りたい免疫のことと、免疫力を上げるための食事について「腸のスペシャリスト」小林弘幸先生におすすめの食材について教えてもらいました。毎日の食生活を見直して、今すぐできるセルフケアで自己防衛力を上げましょう。

免疫力アップの画像
順天堂大学 医学部 小林弘幸 教授

【教えてくれた人】順天堂大学 医学部
小林弘幸さん
日本体育協会公認スポーツドクター。自律神経研究の第一人者として知られる。順天堂大学に日本で初めての便秘外来を開設した“腸のスペシャリスト”。『医者が考案した「長生きみそ汁」』や『100年生きる免疫UPごはん」などベストセラーも多数。

そもそも「免疫」の役割を知っていますか?

私たちが口にする食べ物や飲み物、それに空気中にも、たくさんの細菌やウイルスが存在しています。こうした細菌やウイルスがからだに入ってきた際、まずは有害な敵かどうかを判断してから、敵だと認識すると一斉に攻撃してシャットアウトしてくれるのが免疫の役割です。つまり、有害なものからからだを守ってくれる自己防衛システムなのです。

免疫力を担っているのが、免疫細胞です。敵の侵入を察知すると、免疫細胞は血流にのって全身に移動して、有害物質が体内に吸収されないように撃退してくれます。

免疫力は20代をピークに低下していき、40代には半分になり、その後も緩やかに低下していきます。ですからご高齢の方ほど、免疫力を保つことを心がけましょう。

からだを強くするには「免疫」、「自律神経」、「腸内環境」の3つのバランスが大事!

「免疫」、「自律神経」、「腸内環境」
「免疫」、「自律神経」、「腸内環境」

からだの免疫力は、「腸内環境」と「自律神経」を整えることと非常に密接に結びついています。

免疫細胞は全身に存在していますが、その約7割は、腸壁の内側に集中しています。ですから、免疫細胞が元気に働いてくれるかどうかは、腸内環境に大きく左右されるのです。

腸の中には善玉菌・日和見(ひよりみ)菌・悪玉菌という3つの細菌がいて、善玉菌が2、日和見菌が7、悪玉菌が1、というバランスが理想です。日和見菌は、その名前の通りにどっちつかずで、善玉菌と悪玉菌の優勢な方に味方するので、悪玉菌が増えると腸内環境がどんどん悪くなってしまいます。腸内環境を整えるためには、悪玉菌の数を減らし、善玉菌を増やしてあげることが重要です。

もう1つの自律神経は、呼吸や心拍数、血圧など、からだのさまざまな活動をコントロールしています。緊張・興奮時に活発になる交感神経と、リラックス時や睡眠時に活発になる副交感神経のバランスが重要です。

「血流をよくする」ことで「自律神経を整える」ことができます。腸には血液をキレイにする働きもあります。腸の環境を整えることで血液の質が高まり、血流をよくして自律神経が整えば、免疫細胞が全身に運ばれやすくなって、免疫力のアップにつながります。これらのうち、どれか1つでも改善できれば、他の要素にもよい影響を与えてくれます。

逆に、自律神経が乱れれば、血流が悪くなって腸の働きもうまくいかなくなり、血液の質も悪くなって、免疫細胞が活発に働くことができなくなる、という負の連鎖を生み出してしまいます。

腸内環境や自律神経を整えて免疫力を上げるためには、毎日の食生活を見直すことがとても重要です。

病気ではないけれど体調を崩しがちという方は、免疫力が落ちている可能性があります。

免疫力アップにおすすめ! 「発酵食品」と「食物繊維」

腸を元気にする、発酵食品

発酵食品とは、糀(こうじ)菌や納豆菌、酵母などの微生物の力で発酵させた食品のこと。食材の旨みを引き出すとともに、栄養価もアップします。乳酸菌などの善玉菌が多く含まれているので、毎日食べることで、腸内の善玉菌が活性化して腸内環境の改善につながります。発酵によって食材の分解が進んでいるので、栄養素がからだに吸収されやすいのも嬉しいポイントです。

私は常々、「食事に迷ったら和食を摂ってください」とお話しています。例えば和の朝食なら、納豆やお味噌汁、漬物など、発酵食品がズラリと並びます。そこまで用意できない、という方も、1日1種類でよいので、腸内環境のために発酵食品を摂ることを心がけてください。

いろいろな食品からバランスよく摂りたい、食物繊維

いろいろな食品からバランスよく摂りたい、食物繊維

日本人の1日の食物繊維の摂取目安量は20グラムですが、平均では10グラムほどしか摂れていません。食物繊維は便のカサを増やしたり、腸の伸び縮みする動きをうながしたり、また善玉菌のエサにもなる重要な成分です。

その他にも、肉類に含まれるたんぱく質は免疫細胞の材料となりますし、野菜類のビタミンC・Eも、血流改善のために摂りたい成分です。

食品の摂り方も、免疫力アップに関わってきます。ぜひ実践して欲しいのが、りんごなどの果物だけでもよいので、必ず朝食を摂ること。そうすることで自律神経のスイッチを入れてからだを目覚めさせることができます。また食事は「腹七分目」を心がけましょう。食べ過ぎると、腸にストレスがかかって血流も悪くなってしまいます。

こうしたことをいきなり全部始めようとしても長続きしないでしょう。「1つでもよいので、毎日続ける」ことで免疫力を上げて、ウイルスや細菌に負けないからだづくりに役立ててください。

からだを守る免疫力を上げるには発酵食品と食物繊維を摂ろう!

小林先生推薦レシピ

さまざまな外敵からからだを守ってくれる自己防衛システム・免疫力。しかし、20代をピークにその力は低下していきます。そんな免疫力を上げるには、腸内環境と自律神経を整えてあげることが大切です。免疫力・腸内環境・自律神経の3つの要素が密接に結びついています。この3つのうち、どれかひとつが乱れれば他も活動が低下し、逆にどれかひとつでも改善できれば他の要素もよりよく働くように。これらの要素を整えるには毎日の食生活が重要です。納豆やヨーグルトなどの発酵食品で腸内環境を改善し、果物やキノコ類の食物繊維で善玉菌にエサを与えて、免疫力をアップ。強いからだをつくりましょう!

◎合わせて読みたい→ 便秘や口臭、肌荒れは腸が原因! セルフケアでできる腸活9つの習慣

(取材・文 金田啓/イラスト 藤井ナツコ)

planmake_niimi

企画・構成=新見麻由子
にいみまゆこ●月刊『茶の間」編集部員。徳島県出身、歴史や文化、レトロなものに憧れて京都へ。休みの日は、散歩や自宅でお茶を片手に本を読みながらまったり過ごしたい。季節を感じる和菓子やお花に興味がでてきた今日この頃。