「常滑×京都」上質でおしゃれ、そして機能的な急須ならこれ一択!

「急須といえば常滑」といわれるほど日本一のシェア数を誇る名産地・常滑。その中でも、お茶の本場・京都の技を受け継いだ急須を編集部が探しました。。北欧柄なんて目じゃないおしゃれさとお茶をおいしく淹れられる機能性も兼ねた、おすすめの急須をご紹介します。

常滑画像

常滑が急須「日本一」だと
知っていましたか?

常滑

京都市内から車で約2時間半、愛知県の海沿いに常滑とこなめ市はあります。平安時代後期から焼物の産地として名高く、瀬戸焼や信楽焼と並び、「日本六古窯にほんろっこよう」のひとつに数えられています。

伝統ある常滑焼の中でも有名なのが「急須」です。「常滑焼といえば、急須」といわれるほど、日本一のシェア数をほこり、重要無形文化財にも認定されています。

そんな急須の名産地で出会った、
お茶の本場仕込みの職人夫婦とは?

そんな急須の名産地
出会った、お茶の本場仕込みの
職人夫婦とは?

陶芸家、都築豊さん

そんな急須の名産地で、急須をつくるご夫婦に出会いました。「大興寺窯だいこうじがま」を営む都築つづきさんご夫妻です。

ご主人で陶芸家の都築豊さんが急須の土台をつくり、妻で絵付師の佳子さんが上絵付を行ないます。

豊さんは、陶芸家の家に生まれました。一度は、会社勤めを経験しますが、昔からの「ものづくりが好き」という気持ちが忘れられず、24 歳で陶芸の道へ進みます。しかし、彼が師と仰いだのは、常滑に窯を持つ日本工芸会正会員の父ではなく、遠く離れた京都の陶芸家でした。

驚きの京焼の手法が加わることで、
どこにもない常滑焼に!

驚きの京焼の手法
加わることで、どこにもない
常滑焼に!

京焼の手法

「京都の焼物は、繊細で品があると思います」と豊さん。陶芸の道を歩むと決め、さまざまな焼物を学ぶ中で、京焼・清水焼の繊細な美に魅了されたといいます。「清水焼の郷」・京都市山科やましな区の窯元で修行を積んだ豊さん。彼の作品や道具、ろくろ場など、至るところに京焼の手法が垣間見えます。

例えば、急須の深さと幅を測る「とんぼ」と呼ばれる道具は、常滑焼ではあまり使いませんが、土の収縮率を重要視する京焼では多用します。そのため、「急須づくりはまず道具づくりから」と言う豊さん。1 つひとつの急須に合せてつくった、数多くのとんぼがありました。

京焼の手法

ほかにも、ろくろのひき方も常滑焼と京焼では違います。常滑焼は「一個びき」と呼ばれ、あらかじめ急須の胴体 1 つ分ずつに土を分けておくのに対し、京焼は 1 つの粘土の塊からすべてのパーツをひく「数びき」が主流。豊さんは数びきの方法で急須の胴体、注ぎ口、取っ手、蓋……と次々とひき、パーツを合せて急須の形をつくっていきます。

京都で陶芸の基礎を学んだ豊さんでしたが、「急須は常滑に帰って学びなさい」と師匠は急須づくりを教えてはくれませんでした。常滑焼の急須が、陶芸の世界でも一目置かれていることがわかります。

都築さん

「修行時代は、師匠の作品の物真似をしていました。物真似の技術こそが、最高の技術だと考えます」

物真似、というと消極的に聞こえますが、理想の形を土や気温に左右されることなく、安定してつくり続けられるのが職人の技術だと豊さん。

「急須はあくまで実用品。芸術品のような究極の一作品だけを求めるのではなく、常に理想の急須の形を再現することが重要」だと言います。

京都では師の、常滑では父の作品を研究し、自身の作風を確立させていきました。そうして 2 つの土地で学んだ技法で成型した急須を、数日、乾燥させたあと高温の窯で焼いていきます。

実用的でありながら、
おしゃれに暮らしを彩る理由とは……

実用的でありながら、
おしゃれに暮らしを彩る
理由とは……

絵付師、都築佳子さん

豊さんが焼き上げた急須は、次に奥様の佳子さんの手に渡ります。

滋賀県出身の佳子さんは、高校生の頃から職人の仕事に憧れを持ち、中でも茶道具や着物に描かれた和柄に強く惹かれたそう。「将来は絵付の仕事がしたい」と志望し、京都にある美術大学の日本画専攻へと進みます。

日本画の基本は構図。それが今の絵付の技術に大きく役立っているといいます。卒業後、京焼の茶陶家の窯元に就職し、絵付師になる夢を叶えました。

上絵付の作業をする都築さん

焼物への絵付には2つのやり方があります。1つは下絵付といい、素焼きした陶器に描いたのち、本焼を行なう方法。もう1つは上絵付と呼ばれ、本焼した物の上に描きます。下絵付とは異なり、さまざまな絵の具が使えるのが特長です。赤、青、黄、と多彩な色で四季折々が表現できるため、京焼によく見られます。

佳子さんの技法は上絵付。豊さんが本焼した急須の上に、顔料を溶かした絵の具で絵を描いていきます。

「描きたい絵のデザインは頭の中にあります。それをどう配置するか、そのバランスが大事です」

そのため、本描きをする前に1つひとつ、あたりと呼ばれる下書きをしっかりとつける、この作業ですべてが決まるのだと佳子さん。日本画で培った構図の重要性が活かされています。

常滑

先ほどまで土の色をしていた急須に、薄紅色の花弁が少しずつ、丁寧に描かれていきます。黄金の波に浮かぶ、薄紅と白の桜が美しい「波桜」の絵柄は、大興寺窯の急須の中でも人気のデザインです。京都で学んだ技術で、急須に美しい花を咲かせていきます。

豊さんが作った、常滑焼と京焼の手法が生み出した機能的な急須の土台に、佳子さんの女性ならではの感性と日本画で学んだ技術が見事に合わさり、暮らしに彩りを与える、唯一無二の急須となるのです。

常滑×京都」2つの焼物の街で
培った職人夫婦だからつくれる最高の急須

常滑×京都」2つの焼物の
街で培った職人夫婦だから
つくれる最高の急須

都築さんご夫婦

京都の窯元で、互いに作品づくりをしていたお2人。若手職人の集まりで知り合い、切磋琢磨していくうちに惹かれ合うように。豊さんが地元に帰るのを機に、晴れて夫婦になりました。

豊さんが急須の土台をつくり、佳子さんが上絵付を行な うのが、大興寺窯のスタイル。夫婦2人3脚での急須づ くりですが、佳子さんははじめ乗り気ではなかったとか。

「お互いが職人ですから、こだわりも、譲れないこともあります。はじめはぶつかることも多かったんです」と佳子さんは懐かしそうに笑います。それでも豊さんは諦めませんでした。

「彼女の技術を尊敬しています。この人に絵付を続けて欲しい、ずっとこの絵を残していきたいと思ったんです」と、その理由を明かしてくれました。人としてはもちろん、職人としても互いを尊敬し合うお2人の姿がそこにはありました。

常滑

2つの焼物の街で培った職人夫婦のお互いへの尊敬と思いが込められた急須。名産地・常滑の土を使ったオリジナルの粘土で成型された土台に、千年の都・京都の技法が込められた、美しい絵の輝く急須が完成しました。他のどこにもない、都築夫妻だからつくれた急須です。

京都と常滑、2つの技術が合さって生まれた急須は、おいしいお茶を淹れるための機能性とセンスのよい絵付けが施された、どこにもない最高の急須でした。

大興寺窯

常滑市中心から少し車で移動した高台にある大興寺窯。急須に関する問い合せは直接下記へ。
【住所】愛知県知多市大興寺字里 38 

TEL:0569-42-2102

大興寺窯
planmake_niimi

取材・文=新見麻由子
にいみまゆこ●月刊『茶の間」編集部員。徳島県出身、歴史や文化、レトロなものに憧れて京都へ。休みの日は、散歩や自宅でお茶を片手に本を読みながらまったり過ごしたい。季節を感じる和菓子やお花に興味がでてきた今日この頃。