宇治の日本茶インストラクター直伝! 褒められるお茶の淹れ方

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その自己流、損してるかも!
お茶にはおいしく淹れる方法があるんです

会社でのお茶当番やお客様へのお茶出し。
頼まれたけど、いざやってみると「あれっ、このやり方であってるよね?」と不安になっていませんか?
公益社団法人京都府茶業会議所が運営する宇治茶道場「匠の館」の日本茶インストラクター・村田範子さんに、おいしい煎茶の淹れ方を教えていただきました。
「お茶は身近なものだから、自己流で淹れている方も多いんですよ。特に宇治茶は淹れ方によって味が変わりますから、日本茶本来の味を知っていただきたいですね」
日本茶の中でも身近な煎茶はお茶の温度によって、幾通りもの味が楽しめます。ぬるめのお湯で淹れれば、まったりと旨みのある味に、熱めのお湯で淹れれば、すっきりと渋みのある味わいに。茶葉とお湯の量、お湯の温度、抽出時間。この4つを変化させることで、さまざまな味が引き出せます。

おさえるポイントはたったの4つ!【失敗しない煎茶の淹れ方】

用意するものは、急須、湯呑、(あれば)湯冷まし、茶葉、お湯。

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  1. 茶葉を用意する
    一人前約3gの茶葉を急須に入れます(写真左上)。目安はティースプーンが軽く山盛りになる程度です。
  2. 沸騰させたお湯を冷ます
    一煎目は70℃ぐらいに冷まします(写真右上)。
    湯を別の器に移す毎に10℃温度が下がると言われるので、沸騰したお湯なら、3回ほど移し替えて適温になるまで冷まします。
  3. お湯を注いで待つ
    適温になったお湯を注ぎ、蓋をして待つことおよそ1分(写真左下)。茶葉の旨みが溶け出します。
  4. 湯呑みに注ぐ
    最後の一滴まで注ぎきることがポイントです(写真右下)。この最後の一滴に、お茶の旨みが凝縮されています。

お茶は一度だけでなく、二度、三度と楽しめます!

一度目に淹れた一煎目のあとも、二度三度とお湯を注いでお茶を淹れることができます。二煎目は約80度のお湯を入れたらひと呼吸(10秒ほど)おいて注ぎます。三煎目はさらに湯温の高い、約90度のお湯を入れ、すぐに注ぎます。待つ時間はほとんどいりません。

お茶に含まれる成分は、抽出されるタイミングが違うため、煎を重ねると味が変化していき、風味の違いが楽しめます。一煎目は、甘み成分のテアニンがよく出たまったりとした甘み、二煎目はさわやかな風味、三煎目では渋みのある味わいを楽しめます。

日本茶はのどを潤すだけじゃない

自分でくつろぐための一杯、お客様のために淹れた一杯。丁寧に淹れたお茶は、淹れた人の心の余裕を感じさせます。
「最近では、喫茶店でコーヒーを味わうように、日常茶飯のお茶ではなく、特別なお茶として宇治茶を飲む方もいます。そんなふうに、日常の中でもお気に入りのお茶セットを用意して、一時(いっとき)でも場所を変えてゆっくりと楽しむ。10分でも15分でもそんな時間を過ごしてください」
一杯のお茶を急須で淹れて、いただく。それだけで、心が豊かになるひとときです。

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取材・文=羽切友希
はぎりゆき●月刊『茶の間』編集部員。ちびまる子ちゃんが好きな静岡県出身。小さい頃は茶畑の近くで育ち、茶畑を駆け抜けたのはよき思い出。お茶はやっぱり渋めが好き。