カテキンの専門家に聞いた! 寒い冬の健康に緑茶がいい4つの理由

寒くて体調を崩しがちの冬は、外敵に負けないからだづくりを心がけたいものです。そんな中で注目を集めるのが、緑茶に含まれる健康成分「カテキン」です。そのカテキンの力について、日本カテキン学会の増田修一先生にお話を伺いました。

お茶のグラフ

【教えてくれたのはこの方!】

博士(食品栄養科学) 日本カテキン学会役員 増田 修一先生

博士(食品栄養科学)
日本カテキン学会役員
増田 修一先生

静岡県立大学食品栄養科学部食品生命科学科教授。主に食品中の各種化学物質のヒトに対するリスク評価を研究。

博士(食品栄養科学) 日本カテキン学会役員 増田 修一先生

1.健康維持に寄与するさまざまな働きがある!

気温がグッと下がる冬は、なにかと体調を崩さないよう、日頃から体調管理のための対策が大切です。そこで今、高い関心が寄せられているのが、私たち日本人になじみの深い緑茶です。緑茶には実にさまざまな栄養成分が含まれており、昔から健康のために利用されてきました。その栄養成分の中でも、近年、特に注目されているのが「カテキン」です。

カテキンはポリフェノールの一種で、お茶特有の苦渋味成分のもとになる物質です。そのカテキンには種類があり、主にエピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート(EGCG)という4種類が存在しています。その中でもエピガロカテキンガレートが一番多く、緑茶に含まれるカテキンの50〜60%を占めています。このエピガロカテキンガレートは酸化から守る力が強いため、抗菌や食中毒予防に加え、健康維持に寄与するさまざまな働きを持っていることが、これまでの研究で解明されています。

緑茶抽出中の主なカテキンの割合

2.熱々がうれしい冬。高温で淹れるとよりカテキンを摂取できる!

緑茶を淹れる際には、カテキンの性質を知っておくとよいでしょう。それは淹れる温度によって、成分の溶出量が変わってくるということです。カテキンは、水や低い湯温ではあまり溶出されませんが、湯温が高くなればなるほど溶出しやすくなります。健康のことを考えると、80〜90度くらいのお湯で淹れると、カテキンをより多く摂取することができます。

お湯の温度と 溶出される成分のイメージ(煎茶の例)

3.1日5杯以上を習慣づけるとさらに維持できる!

また、蒸し時間を長くした深蒸し製法のお茶がありますが、これはお茶の葉を長く蒸すことで組織が破壊され、抽出がよくなるので、カテキンもより多く溶け出します。緑茶に関する研究の中で、1日に5杯以上の緑茶を飲むと健康に役立つという研究結果が報告されています。しかし、一度にたくさんの量を飲めばよいというものではなく、2時間おきくらいにこまめに、習慣づけて飲むと、カテキンの働きを維持できるでしょう。

1日5杯以上を習慣づけるとさらに維持できる!

4.急須で淹れるとカテキンの摂取量が多くなる!

さらに、もう一つ大切なポイントなのが、「急須で淹れる」ことです。ペットボトルのお茶よりも、茶葉から高温で淹れた方が、1日あたりのカテキンの摂取量が多いという研究結果もあります。また、3煎目くらいまではカテキンはよく抽出されますが、4煎目以降になるとカテキンの抽出量は大幅に減ってしまうので、茶葉をこまめに入れ替えて淹れるのがよいでしょう。

急須で淹れるとカテキンの摂取量が多くなる!

今、新たな外敵に対して、カテキンがどのような働きを示すのか、国内外で研究が進められており、研究結果に関する論文も徐々に報告されてきています。緑茶が持つさらなる健康パワーに期待したいですね。

緑茶が持つ健康パワーはいかがでしたか?毎日の暮らしの中で1日5杯の緑茶を飲む習慣を身につけて、今年の冬は体調を崩さず元気に過ごしましょう!

 

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planmake_maeda

取材・文=前田尚規
まえだなおき●月刊『茶の間」編集部員。3児の父。編集部内でのお茶博士(決して日本茶インストラクターではない)。その薄い知識をひけらかし、ブイブイ言わしているとかいないとか。休日に子どもたちと戯れるのが唯一の楽しみ。