フレッシュな香りが楽しめる新茶は、料理の調味料としても活躍します。今回、緑茶好きの京都の料理人・DECOさんに、おいしい新茶のレシピを教えてもらいました。お肉料理からおばんざい、スイーツまで、おうちごはんにお茶や茶殻(出がらし茶葉)を取り入れてみませんか?
京都で長年「おばんざい京室(きょうしつ)」を主宰するDECOさんは、毎日欠かさず飲むほど緑茶好き。五月から楽しめる、フレッシュな新物の味わいは格別だと話します。そんなDECOさんに、新茶を使ったレシピを考案していただきました。
「まずはお茶を飲み、茶葉を食べて味わいを確認しながら、こんな料理に合いそうだなと想像してレシピを組み立てていきました。茶葉をすりつぶしたり、炒ったり。加工によって香りや味わいが変わるので、つくっているうちに、あれもやってみよう! といろいろなアイディアが浮かんできました。お茶はお料理の調味料としても面白いですね」とDECOさん。
新茶の香りを活かすため、さっぱりとした鶏肉や、同じく香りのよい食材と合せると、思わぬ相乗効果が生まれました。食事のメイン料理からスイーツまで、DECOさんオリジナルの新茶料理に、ぜひ挑戦してみてください。
[レシピ監修]
おばんざい京室 DECOさん
ジューシーな鶏肉の旨みを新茶の香りが包み込む
鶏むね肉のグリルチキン新茶風味
ジューシーな鶏肉の旨みを新茶の香りが包み込む
鶏むね肉のグリルチキン新茶風味
鶏むね肉………………………………2枚
添え野菜………………………………適量
A
塩…………………………………………小さじ2
茶葉………………………………………8g
お茶漬けの素(わさび塩) ……8g
黒胡椒 …………………………………適量
*お茶漬けの素からわさび塩(緑の粒々)だけを取り出しておく。
*お好みで七味唐辛子を加える。
- Aを混ぜておき、鶏むね肉に揉み込み、30分ほどおく。
- グリルの網にホイルを敷き1を2枚並べて置き、5〜7分ほどこんがり色づくまで焼く。裏返して4〜5分ほど焼き、竹串をさしてみて、赤い汁が出てこなくなったら焼き上がり。
- お皿に添え野菜をおき、食べやすく切った2を盛り付ける。
キノコの旨みと新茶の香りをさっぱり洋風仕立てに
キノコのグリル・緑茶マリネ
キノコの旨みと新茶の香りをさっぱり洋風仕立てに
キノコのグリル・緑茶マリネ
椎茸 …………………………4〜5枚
エリンギ……………………1袋
マイタケ ……………………1個
パプリカ(黄) …………1/3
ピーマン ……………………1個
ミニトマト…………………2〜3個
オリーブ油 ………………………適量
A
オリーブ油 …………………大さじ3
酢 ………………………………大さじ1
粒マスタード………………………5g
茶葉……………………………大さじ1/2
塩 ………………………………少々
黒胡椒…………………………少々
- 椎茸、エリンギ、マイタケは、石突を取り、洗ってから食べやすい大きさにカットする。パプリカ(黄)、ピーマンは一口大に切る。
- ボウルに1の野菜を入れ、オリーブ油を回しかけて馴染ませる。
- オーブントースターの受け皿にホイルを敷き2の野菜を並べ、あらかじめ1〜2分ほど温めておいたオーブントースターに入れ、7分ほど焼く。ミニトマトは、切って種を抜いておく。
- 茶葉は、軽く乾煎りしておく。別のボウルにAを入れよく混ぜてマリネ液をつくる。
- 3が焼けたらミニトマトと一緒に4のボウルに入れよく絡める。
ジューシーな鶏肉の旨みを新茶の香りが包み込む
エノキと出がらし茶葉の佃煮
ジューシーな鶏肉の旨みを新茶の香りが包み込む
エノキと出がらし茶葉の佃煮
エノキ …………………………1束(大)
出がらし茶葉 ………………7g
A
酒 …………………………………50cc
醤油………………………………40cc
砂糖………………………………10g
- 出がらし茶葉を皿に広げて入れ、電子レンジで加熱し水気を飛ばす(40秒×3回程度)。さらにフライパンで乾煎りする。
- エノキは、石突を除き、1/2か1/3に切る。
- 鍋にAを入れ、沸騰してきたら2のエノキを入れ、再び沸騰してきたら弱火にして、焦がさないようにときどき混ぜながらコトコトと煮込む。
- 汁がなくなる前に、出がらし茶葉を入れて、汁がなくなるまで煮込む。
もっちりとした食感に新茶とごまの風味が絶品
新茶のごま豆腐
もっちりとした食感に新茶とごまの風味が絶品
新茶のごま豆腐
葛粉………………………50g
練り胡麻 ………………65g
茶葉………………………6g
練りわさび……………適量
水(常温)……………500cc
A
出汁 …………………50cc
酒……………………大さじ3
みりん ……………大さじ1
薄口醤油 …………大さじ1
B
出汁…………………50cc
酒……………………大さじ1/2
みりん ……………小さじ1
薄口醤油 …………大さじ1/2
- ボウルに葛粉を入れて少しずつ水を加え、葛粉がほぼ溶けたら残りの水を入れる。そこに、Aをすべて加え、よく混ぜる。
- 別のボウルに練り胡麻を入れ、1の液を少しずつ加えて溶きのばす。これを何回か繰り返し、練り胡麻が溶けたら残りの1の液をすべて入れよく混ぜる。細かくすった茶葉を加えて混ぜる。
- 鍋に2を入れて火にかける。木べらを鍋底にくっつけ混ぜながら強めの中火で加熱する。手を止めずに、とろみがついてきたら手早く練るように混ぜる。全体がぷくぷくとしてきたら、少し練って火を止める。
- 流し缶を水で濡らす。3を流し入れ、あら熱を取り、冷蔵庫で冷やし固める。
- 食べやすい大きさにカットし、器に盛り付ける。Bを混ぜてつくった出汁醤油と練りわさびを添える。
サクサクの衣から新茶の香りがいっぱいに広がる
ちくわの磯辺揚げ新茶風
サクサクの衣から新茶の香りがいっぱいに広がる
ちくわの磯辺揚げ新茶風
ちくわ …………………1本
煮込ちくわ …………1本
椎茸 ……………………2個
茄子 ……………………1本
大葉 ……………………2枚
揚げ油 …………………適量
A
小麦粉…………………50g
マヨネーズ……………12g
茶葉 ……………………7g
冷水……………………65cc
B
出汁 ……………100cc
酒 ………………大さじ1/2
砂糖 ……………小さじ1/3
みりん…………大さじ1/2
薄口醤油 ……小さじ1
醤油 ……………小さじ1/2
材料の下準備
- 野菜は水で洗う。茄子は縦半分に切りさらに横半分に切る。ヘタ側は約2cmを残して5mm幅の切り込みを入れ、水分を拭く。椎茸は、石突をとる。大葉は水気を切る。ちくわは縦半分に切る。煮込ちくわは縦半分に切り、横斜め切りにする。すべての材料に打ち粉(分量外)をする。
-
小麦粉と水を冷やしておく。茶葉は、軽くすり潰しておく。
- ボウルにAのマヨネーズを入れ、少しずつ冷水を加えてよく混ぜる。混ざったら小麦粉を加え、少し粉が残るくらいに軽く混ぜる。そこに、茶葉を加えて軽く混ぜる。1のちくわや野菜を入れて衣を付ける。
-
揚げ油をフライパンか鍋に入れ170℃に熱し、3のちくわや野菜を揚げる(一度に多く揚げすぎないよう注意)。揚げ上がりの目安は、お箸にジーンとした振動が伝わってくるまで。揚がったら、よく油を切り、塩(分量外)を軽く振る。
-
Bを鍋に入れて軽く煮立たせ、天つゆをつくり、添える。
まろやかなじゃがバターが新茶の風味を引き立てる
新茶のじゃがバター
まろやかなじゃがバターが新茶の風味を引き立てる
新茶のじゃがバター
じゃがいも………………………2~3個
茶葉…………………………………5~7g
バター………………………………10~15g
塩・胡椒…………………………………適量
- じゃがいもは洗って皮をむき、一口大に切る。鍋にひたひたの水を張り、じゃがいもを入れて、爪楊枝がスッと刺さるまで茹でる。
- 茶葉は、すり鉢できめ細やかにする。
- 1の湯だけを捨て、1〜2分炒って粉ふきいもにしてから、すりこぎなどでしっかり潰す。バターを加えてよく混ぜ、味をみてから塩・胡椒で調味し、茶葉を加えて混ぜる。
甘さ控えめで、新茶の風味が際立つ
緑茶のムース
甘さ控えめで、新茶の風味が際立つ
緑茶のムース
茶葉 ………………………………………25g
湯 ………………………………………300ml
グラニュー糖………………………… 20g
粉ゼラチン………………………………4g
生クリーム …………………………100ml
- 小鍋に湯を沸かし、茶葉を加えて5分蒸らす。別の鍋に網でこしたお茶を入れ、グラニュー糖を加え混ぜて火にかけ、沸騰直前で火を止め、粉ゼラチンを加え、ゴムベラもしくは杓子で混ぜ、溶かす。
- 1を氷水にあてながら、あら熱を取る。
- ボウルに生クリームを入れて7分立てにする。飾り用に生クリームを20gほど分けておく。残りの生クリームを2に加えてなじませ、さらに泡立て器でふんわりと混ぜる。
- 3の液を器にわけて入れ、冷蔵庫で冷やし固める。固まったら飾り用の生クリームを絞ってのせ、粉末状にした茶葉(分量外)をふる。
京都のお母さんともいえる、緑茶好きのDECOさんが作る新茶を使ったお料理は、どれも簡単でおいしいので、ぜひ挑戦してみてくださいね!
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(文 大村沙耶/写真 福尾行洋)
企画・構成=大村沙耶
おおむらさや●月刊『茶の間」編集部員。福岡県北九州市出身。休日は、茶道や着付けのお稽古、キャンプや登山に明け暮れる。ミーハーだけど、伝統文化と自然を愛する超ポジティブ人間。