【保存版】茶葉、急須、マナーなど、日本茶の疑問を解決!(後編)

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日本茶インストラクター完全監修!知られざるお茶の必須マナー8選!

前編に引き続き、後編ではプライベートやビジネスシーンでのお茶時間に役に立つ、今さらちょっと聞きにくい基本マナーをご紹介。お茶のもてなし方ともてなされ方、同時に復習して楽しくお茶をいただきましょう。

自宅にお客様が来てお茶を出すとき、または訪問先でお茶をいただくときに、「あれ、これってどうするのが正解なのだろう?」と戸惑ってしまうことはありませんか。いざというときに恥ずかしい思いをしないように、お茶をお出しするとき、いただくときのマナーは覚えておきたいもの。一つひとつの動作を丁寧に行なうこともポイントです。

訪問先でお茶やお菓子を出された際、変に遠慮するのはやめましょう。温かいお茶を淹れてくださった方への配慮として、冷めないうちにいただくことも大切です。また、女性の場合、湯呑に口紅がついてしまうこともあるでしょう。その際は、さりげなく拭き取っておきましょう。お茶は相手とのコミュニケーションを円滑にしてくれるもの。相手への心配りを大切に楽しめたら素敵です。

下記では、知っておくとためになる8つのマナーをご紹介。何度も復習して身につけば、これからきっと役立つはずです。

01.正しいお茶の運び方って?

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運んでいる間にお茶がこぼれて茶托を濡らしてしまうことを防ぐため、湯呑と茶托は分けて運ぶ。

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運ぶときは、お盆は体の正面から少し外すのがポイント。正面だと運ぶ人の息がかかっているように見えてしまうためNG

02.茶托のセットの仕方とお茶とお菓子の位置の位置って?

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茶托の上に湯呑をセットするのはお盆の上で。人数が多い場合は、サイドテーブルで人数分をセットする。差し出すときはもう片方の手も添えると美しい。

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お客様から見て湯呑は右、お菓子は左に置く。お菓子はやや手前に置くと食べやすくなる。

03.茶托と湯呑の向きって?

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木目がある茶托の場合、木目はお客様から見て横向きになるようにする。縦方向は縁起が悪いとされているため要注意!

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湯呑に絵柄がある場合、絵柄はお客様の正面にくるように置く。無地の場合は、色むらなどの雰囲気で、よりふさわしいと感じる部分を正面に向けてお出しする。

04.お茶をいただく際の湯呑の向きとふた付き湯呑の扱い方って?

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もてなす側は湯呑の正面を向けて出してくれるので、湯呑の正面を避けるようにしてずらしていただくのがよい。

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ふたをそっと開けて傾け、周囲を水滴で濡らさないように内側についた滴を湯呑の中に落とす。ふたは両手で持ち、茶托の右奥に裏返して置く。

05.湯呑の持ち方とお茶の飲み方って?

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湯呑を左の手に乗せ、右手を湯呑に軽く添えて口元へ。両手を使うと見た目にも美しい。

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訪問先では静かに音を立てずに飲むのが礼儀。一気飲みせずに、じっくり味わって飲むこと。

06.数人の来客の場合、湯呑は揃えた方がいいの?

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友人や家族など、親しい間柄の場合、その人の雰囲気に合う湯呑でもてなすのも素敵ですが、そうではない来客やビジネスシーンなどでは、揃いの湯呑で出す方がスマートです。

07.湯冷ましってどういう使い方ができるの?

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沸騰させたお湯を冷ますために使われる湯冷ましは、おいしくお茶を淹れたいときにはぜひ使ってほしいアイテム。(湯冷ましがない場合は、湯呑でも可)。お湯を湯呑に1回移しかえると温度が約5~10℃下がるので、お湯の温度をコントロールするときに便利。茶葉の種類によって適温があるので、それを目安にして、おいしいお茶を淹れて飲みましょう。

  • 約90℃に適したお茶:番茶、ほうじ茶、玄米茶、粉茶
  • 約70℃に適したお茶:煎茶、深蒸し煎茶、茎茶、芽茶
  • 約40~50℃に適したお茶:玉露、かぶせ茶

08.茶葉を新鮮に保つためにいい保存方法って?

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大事にしまっておいたお茶を久しぶりに飲んだら、味が変わっていた! なんてことはありませんか? 茶葉は、夏場は半月、冬場は1ヵ月程度で使い切るのが基本。開封したら、約10日間分を茶筒などの密閉容器に入れて保存を。茶葉は、湿度や温度、光などにも影響されやすいので、多めに買った場合は、小分けにして密閉し、冷蔵庫で保存も可。

【知っ得おまけ】茶殻、捨てないで! 便利な活用術を教えます!

茶殻、捨てていませんか? じつはこの副産物がとっても使えるんです!
お茶を淹れるのが楽しみになること間違いなしの4つの活用法を今日から試してみてください。

【活用その1:食べる】
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茶殻に残った栄養を丸ごと摂れます。醤油やポン酢、白だしなどをかければそのままお浸しとしていただけるほか、フライパンで炒ってふりかけにしても。茶葉のやわらかい玉露や上級煎茶などが適しています。

【活用その2:消臭】
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茶葉には消臭・殺菌効果があるので、湿った茶殻で直接、もしくはお茶パックなどの袋に入れて、まな板や鍋、包丁などを拭くとよいです。また、乾燥させた茶殻を冷蔵庫に入れておくと消臭効果も。臭いのこもりやすいクローゼットや靴箱などにも同様に利用できます。

【活用その3:掃除】
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昔の日本ではよく行なわれていた方法ですが、よく絞った茶殻を畳や床に撒き、ほうきで掃くと、ほこりを吸着し、目につまったゴミもとってくれます。

【活用その4:入浴剤】
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茶殻をお茶パックなどに入れてお風呂に入れると、入浴剤代わりに! 美肌効果があるといわれています。茶渋が浴槽につかないように、入浴後はすぐにお湯を抜くことがベターです。

日本茶生活は楽しい! あなたも今日から始めてください。

前編・後編の2回にわたって日本茶のことをいろいろとご紹介しましたが、いかがだったでしょうか? ペットボトルなど、手軽に日本茶を飲める時代にはなりましたが、急須でお茶を淹れると、おいしいだけでなく、楽しいことや嬉しいこともいっぱいです。ぜひ、今日から急須でお茶生活を始めてみませんか?

 (写真 岡森大輔/イラスト 藤井奈津子)

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参考図書『日本茶の図鑑』
監修:公益社団法人日本茶業中央会、 NPO法人日本茶インストラクター協会
定価:本体1,380+
ISBN978-4-8399-4813-9
出版社:マイナビ出版

日本茶の普及や歴史を継承するために設立された特定非営利活動法人(NPO)。日本茶インストラクター・アドバイザーの試験実施と認定、日本茶に関する通信教育の実施や日本茶文化啓蒙のためのセミナーやイベントの開催など、幅広く日本茶の普及にかかわる。
【住所】東京都港区東新橋2-8-5
【電話】03-3431-6637

HPhttp://www.nihoncha-inst.com

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取材・文=米村めぐみ
よねむらめぐみ●月刊『茶の間」編集部員。出社したらまずはお茶!仕事中はお茶ばかり飲んでいるといっても過言ではないほど、日本茶が好き。作家ものの湯呑など、うつわあつめが趣味。おいしい茶菓子にも目がありません。