緑茶とパンの相性って?プロに聞いた茶種別おいしい組み合わせ5選

パンのおともといえばコーヒーや牛乳が主流ですが、実は緑茶も合うんです! 日本茶インストラクターの資格を持ち、パンづくりのプロでもある遠藤直子さんに、緑茶とパンのおいしい組み合わせを教えてもらいました。煎茶や玉露やほうじ茶など、茶種ごとにおすすめをご紹介します。

緑茶とパンの相性

教えてくれる人

遠藤直子

クール・ア・クール店主/日本茶インストラクター
遠藤直子さん

深蒸し茶の本場・静岡県出身。琵琶湖近くのカフェ「クール・ア・クール」店主。本場・パリ仕込みの天然酵母パンやスイーツを、おいしいお茶やコーヒーとともに楽しめる。日本茶インストラクターとしても活動中。

クール・ア・クール

クール・ア・クール
【住所】 滋賀県守山市木浜町3600-195
【電話】077-598-0148
【営業】 喫茶 9:00〜17:00
テイクアウト 9:00〜18:00
【定休日】 月曜・火曜(年始は1月6日まで休)
【HP】https://www.cafe-coeur-a-coeur.com
※パンについてのお問合せは直接同店へ

お茶の味わいや香り、飲むシーンに ふさわしいパンを選びましょう!

日本茶同様にパンも、それぞれ素材や製法によって味が異なり、こだわると深い世界。今回、パンづくりのプロであり、日本茶インストラクターとしても活躍するクール・ア・クールの遠藤直子さんに、パンとお茶のおいしい組合せを教えてもらいました。

「味の好みは人それぞれなので、このお茶とこのパンが合う、と断定はできませんが、今回、私なりにパンとお茶の組合せを考えてみました」と遠藤さん。オリジナルの「パンの味マップ」をもとに、それぞれの組合せを解説してもらいました。

パンの味マップ

「縦軸はリッチとリーンにしました。パンの基本原料は、小麦粉と酵母と塩と水ですが、基本の素材でつくったシンプルなものをリーンといい、卵やバター、砂糖、牛乳などの副材料を多く含むものをリッチといいます。バゲットやカンパーニュなどはリーンに分類され、クロワッサンやデニッシュなどはリッチに分類されます。横軸は、味の違いがわかりやすいように塩味とフルーティーで分けています」

今回、このマップで分類したパンに合う、日本茶の味や香りを当てはめたという遠藤さん。それぞれの味や香りが活かされる組合せにすることも大切ですが、日本茶は飲むシーンも関係してくるといいます。

「例えば、玉露や上級煎茶は、おもてなしやお茶を楽しむときに飲みたいお茶なので、玉露を飲むシーンではお茶を主役にパンを選びますし、日常的に飲む紅茶やほうじ茶は、パンを主役にしても合せられると思います」

それでは、遠藤さんがおすすめするパンとお茶の組合せをご紹介します。日本茶を知るプロであり、パンの本場フランスでパンづくりを学んだ遠藤さんだからこそ編み出せる、パンとお茶の組合せをお楽しみください。

「私が考えたのは、ほんの一例に過ぎません。自分なりに好きな組合せを考えてみるのも面白いと思います」。

玉露の旨みを引き立てるなら、 リーンなパンを

ライ麦のドライフルーツパン&くるみパン

ライ麦のドライフルーツパン

少し甘みが欲しいなら、ライ麦のドライフルーツパンがおすすめ。風味豊かでほんのり酸味がアクセントになります。

くるみパン

リーンな生地でつくられたくるみパンは、くるみの香りがマイルドで、食事パンとしてもおやつパンとしても活躍します。

日本茶の中でも最上ランクの一つとされる玉露は、強い旨みを感じられるお茶です。湯冷まししたお湯で淹れて、ほんの少量をいただきます。パンを一緒に楽しむときは、玉露を主役に、その旨みが引き立つシンプルな味わいのパンを選ぶとよいでしょう。

シンプルな素材を使ったリーンな生地に、くるみやドライフルーツを入れたパンがおすすめです。ほのかな塩味や酸味を噛み締めるパンは、玉露の旨みを邪魔しません。(遠藤さん)

さっぱりする深蒸し煎茶には、 コクのあるリッチなパンを

リッチなパン

きのこタルティーヌ

バゲットに、チーズとベーコンときのこをのせてこんがり焼いたタルティーヌ。醤油ベースで和風の味付けにし、スパイスを軽めにすることで、日本茶にも合うように仕上げました。

ピスタチオスプレッドサンド

現在人気の、ピスタチオスプレッド。いつものパンに塗るだけで、おしゃれな一品になります。今回は、くるみパンにピスタチオスプレッドとクリームチーズを挟みました。

深蒸し煎茶は、通常の煎茶より蒸し時間が長いことで、すべての成分が出やすいお茶です。カテキンが多めでさっぱりする深蒸し煎茶には、リッチなパンがおすすめ。

静岡県出身の私は、子どもの頃からどんな食事でも深蒸し煎茶を飲んでいました。深蒸し煎茶は、飲んだあとスッキリしやすいため、きのこタルティーヌやピスタチオスプレッドサンドなど、コクのあるリッチなパンでも合います。(遠藤さん)

爽やかな煎茶には、 コーンやフルーツパンを

コーンやフルーツパン

コーンチーズパン

とうもろこしの甘みをほのかに感じられるコーンブレッドに、チーズで少しアクセントを加えました。生地はリーンで、軽い食感に仕上げています。

フルーツピザ

クリームチーズを塗ったピザ生地に、梨と巨峰とシャインマスカットを並べて焼き、レモンジャムをトッピング。家でつくるときは、市販のサンドイッチパンを使うと簡単です。

煎茶(浅蒸し)は、渋みや甘みのバランスがよいお茶です。選ぶお茶のランクによって味の幅が広いので、さまざまなパンに合せやすいですが、リッチ過ぎないパンがおすすめです。

今回は、煎茶の香りを活かすため、比較的軽い香りのフルーツを使ったピザや、ほんのりとした甘みのコーンチーズパンを選びました。ほのかな塩味やフルーツの味わいが、煎茶と調和します。(遠藤さん)

ほうじ茶の焙煎香には パンチのあるリッチなパンがぴったり

リッチなパン

シナモンロール

バターや砂糖がたっぷりのリッチなパン。スパイシーなシナモンの香りと、バターの香り、砂糖の甘みがたまりません。

ベーコンエピ

エピとはフランス語で「穂」のこと。ベーコンを包んだ麦の穂のような見た目のフランスパン。カリッと歯ざわりのよい食感と燻製したベーコンの香りが楽しめます。

お茶の葉を焙じてつくられるほうじ茶は、ローストした香りが特長です。リッチなパンからリーンなパンまで幅広く合いますが、すっきりと軽い味わいなので、コクのあるリッチなパンがおすすめ。

味は、フルーティーよりも塩味よりのどっしりしたものが合うので、燻製したベーコンを使ったパンやスパイシーなシナモンロールがおすすめです。強めの香りのパンでも、ほうじ茶の香りが調和します。(遠藤さん)

オールマイティーな和紅茶には、 和素材のパンを合せて

和素材のパン

生ハムサンド

惣菜パンの定番、サンドイッチには、香りが強すぎない生ハムをセレクト。サニーレタスやパプリカで彩りを添え、クリームチーズでまろやかに仕上げました。

うぐいす豆のロールパン

うぐいす豆を使ったあんを、パン生地とロール状に巻いて焼きました。豆の風味を豊かに感じられる和風のロールパンです。

抹茶フレンチトースト

抹茶と砂糖をよく混ぜて、さらに卵と牛乳を混ぜた液にバゲットを漬け込み、焼きました。抹茶、砂糖、生クリームを混ぜた抹茶ソースをかけると、甘さを調整でき、さらに濃厚な抹茶を楽しめます。

紅茶は、どんなパンとも合うオールマイティーな存在。リッチ〜リーン、塩味でもフルーティーでも合せやすいです。特に和紅茶を楽しむ場合は、和素材を使ったパンを選ぶとよいでしょう。

抹茶を使ったフレンチトーストや、うぐいす豆のパンなどは、和紅茶の華やかな味とよく合います。惣菜パンの中では、軽めのサンドイッチがおすすめです。(遠藤さん)

おわりに

パンの種類とお茶の味、香りを知ることで、それぞれの特長を活かすことができます。

今回、ご紹介した組み合わせを参考に、自分好みの緑茶とパンのセットを組み立ててみてくださいね。

(写真・福尾行洋)

企画・構成=大村沙耶
おおむらさや●月刊『茶の間」編集部員。福岡県北九州市出身。休日は、茶道や着付けのお稽古、キャンプや登山に明け暮れる。ミーハーだけど、伝統文化と自然を愛する超ポジティブ人間。