ギフトにもおすすめ!用途や好みに合せた湯呑の選び方をプロが伝授

お茶を飲むのに欠かせない湯呑。自分用にはもちろん、おもてなし用やギフト用に求める方も増えています。でも、いざ買おうと思ってもどれも同じに見えて、どう選べばいいかわからないという悩みもあるのではないでしょうか? デザインだけじゃない、機能や種類、用途に合わせた湯呑の選び方をプロに教えていただきました。

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山田東哉さん

大正8年に創窯、昭和11年に銀座へ売舗を開設し、伝統的な京焼を元にしつつも、東京の粋を取り入れた創作を続ける「東哉(とうさい)」の現店主。

※東哉の「哉」は、最後のはらいがないものが正しい表記

東哉 京都清水焼

[住所]京都市東山区五条橋東6丁目539-26
[電話]075-561-4120
[営業時間]10:00〜17:00 [定休日]水曜・第2、4火曜
[HP]https://www.to-sai.net/

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湯呑を選ぶときは、厚みや重さにも注目してみて!

湯呑について詳しい、京都・ちゃわん坂にある清水焼の専門店「東哉」。

店内には、さまざまな湯呑があり、よくみると絵柄だけでなく、大きさや形状など、多種多様。そんな湯呑の選び方をアドバイスしてくれるお店です。

「もちろん、一番は自分が気に入ったものを選ぶことです。でも、用途やそれぞれの特長を知っていると、よりぴったりのものが見つかりますよ」と教えてくれたのは、店主の山田東哉さんです。

お茶を入れる器としては、大きく2つに分けられ、お茶碗のような形をしている「汲出(くみだし)」と、筒型の「湯呑」があります。

「お客様をもてなすときは、湯呑ではなく、汲出でお茶をお出しするのが基本です。よりフォーマルなものになると蓋付のものもあります」

汲出は口の部分が広く、お茶の色をより楽しむことができ、玉露や上級煎茶に向いています。

一方で「湯呑」は、汲出に比べたっぷりのお茶を入れることができ、お茶が空気に触れる面積が小さく冷めにくい特長があります。

「おうちでご自分がお茶を飲むときに使うものですね。手に取ってみて、持ちやすく、しっくりくるものを選んでください。ご年配の方には軽いものが人気ですし、たくさん飲みたいという方は大振りのものを選ばれます。ぴったりの湯呑が見つかれば、お茶を飲むのが楽しくなりますよ」

自分に合った湯呑をみつけるために、山田さんにさらに詳しく「汲出」と「湯呑」について教えていただきました。

汲出

組合せで粋にはからう おもてなしの茶器

汲出

背が低く、口が広い汲出は、お茶の香りがよく立ち、鮮やかなお茶の色がよく見えるのが特長です。おもてなしに使われ、シンプルなものから華やかなものまで、さまざまなデザインがあります。

「西洋はティーセットでカップもうつわも一揃いのことが多いですが、日本には取り合せの妙があります。季節に合ったものを選んだり、お茶うけや茶托との組合せを考えたり……。選ぶ楽しみが広がります。粋なおもてなしの演出を取り合せで試してみてください」

汲出と茶托の関係
湯呑

手にしっくりとなじむ ふだん使いの茶器

湯呑

縦に長い筒形の湯呑は、一度にたくさんのお茶を注げ、自宅でお茶を楽しむのにぴったりです。

選ぶときに注目して欲しいのは厚み。薄ければ軽くて持ちやすく、厚ければ冷めにくくなります。

「熱々のお茶を入れると熱くて持てないという方もいますが、湯呑の底の高台(こうだい)と口縁を挟むようにすれば、しっかり持てます。薄いものはお茶の温度を感じられますが、冷めやすくもあります。こまめにお茶を淹れる方は気にならないかもしれませんが、一度にたくさん淹れておくという方は、冷めにくい厚めの湯呑がよいでしょう」

素材によっても特長があり、陶器製は長時間お茶を入れておくと茶渋などがつきやすい面もあり、手入れに少し手間がかかりますが、それが愛着となり、使うほどに味が出てきます。磁器製は、におい移りや色移りがしにくいメリットがあり、薄手で使いやすいものも多いです。自分のスタイルに合ったものを探してみてください。

用途や好みでさまざまなサイズも
大湯呑
小湯呑
こども用
寿司屋の湯呑

おわりに

お茶時間に欠かせない身近なものですが、改めて知ると奥の深い世界が広がっている湯呑。

お気に入りの湯呑をがあれば、いっそうお茶の時間が豊かになります。さまざまな湯呑を試してみて、ぜひぴったりのものを見つけてみませんか? さまざまな湯呑をコレクションして、茶種やシーンによって使い分けるのも楽しそうですし、贈り物にも喜ばれますよ。

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取材・文=羽切友希
はぎりゆき●月刊『茶の間』編集部員。ちびまる子ちゃんが好きな静岡県出身。小さい頃は茶畑の近くで育ち、茶畑を駆け抜けたのはよき思い出。お茶はやっぱり渋めが好き。