NHK の朝ドラ「まんぷく」の“缶詰の人”野呂役で話題! 昭和の喜劇王・藤山寛美を祖父にもつ、京都出身の若手俳優・藤山扇治郎さん。祇園四条観光におすすめは南座という扇治郎さんに、2018 年秋にリニューアルした南座との縁や魅力を伺いました。
話題を集めた扇治郎さん。南座との縁とは……?
編集部:NHK連続テレビ小説「まんぷく」では、好きな女性に缶詰をプレゼントするという男性を演じられて、話題になりましたね。
扇治郎さん:やっぱり、朝ドラの影響力の大きさにはびっくりしますね。今は、どこへ行っても「缶詰の人ですよね」というふうに、お声を掛けていただいていますから(笑)
編集部:扇治郎さんは、小さいころから舞台に立っていらっしゃるのですね。
扇治郎さん:そうですね。祖父の藤山寛美と、十八世・中村勘三郎さんが懇意(こんい)で、勘三郎さんからお声がけいただいて、小学校 1 年生のときに東京の歌舞伎座で初舞台を踏ませていただきました。そのころ南座の顔見世にも出していただいたんですよ。“まねき看板”に、ちゃんと「藤山扇治郎」と書いてあるんです。上村吉弥(かみむらきちや)さんが「記念になるから」って、その“まねき看板”の写真を撮ってくださいまして。今では大切な宝物になりました。
かつては日本のブロードウェイ! 南座の基本情報をおさらい
慶長年間(けいちょうねんかん)、出雲の阿国(いずものおくに)がかぶき踊りをし、女歌舞伎が評判を呼んだことから、京都の四条河原は歌舞伎の発祥地とされてきました。ここに創設されたのが南座です。当時この界隈には、官許(かんきょ)された7つの芝居小屋 があり、さながらブロードウェイのような賑わいを見せていましたが、 明治時代には、南座と北座(北側芝居)だけになり、その北座も明治26年には廃座。現在では南座のみとなりました。
秀吉の栄華をしのばせる桃山風破風(はふ)づくりの外観と、正面上部に掲げられた、公許の証となる櫓(やぐら)を特長とした現在の南座は、国の登録有形文化財に登録され、京都市の歴史的意匠建造物にも指定されています。
扇治郎さんおすすめ。ここがスゴい!3つのポイント
南座は、数年前から耐震補強を中心とした大規模改修工事を行なってきました。リニューアル後の南座の大きな特長として、伝統的な外観・内観は維持保存しながら、舞台装置や機構を一新。伝統的な古典芸能から、最新テクノロジーを活用したライブエンタテインメントまで上演できること、大規模地震発生時の安全性、快適性の向上、訪日外国人へのサービスも実現しました。さらに、エレベーターの新設や、 深く腰掛けられる椅子など、心地よさがより増した南座で、ぜひ至福のひとときを味わってみてください。
1. 舞台と客席が同じ目線の高さに!
客席と舞台が同じ高さになる全面フラット化、または部分的なフラット化も可能に! 1階客席が舞台となってワンフロアにできたり、多彩な装置などを組み込んだ演出ができたり。これまではできなかった、来場者参加型のコンテンツも上演できるようになりました。今後の公演ラインナップに期待が高まりますね!
2. とってもお客さん想いに!
館内の照明が目にやさしいLEDに替わったり、高齢者でも安心のエレベーターが導入されたり、長時間の観劇も快適に過ごせるよう客席の椅子が一新されたりと、とにかくお客さん目線の改装に、頭が下がる思いです!
3.昼だけではありません!
リニューアルして新しくなったのが、夜のライトアップ。照明デザイナー・石井リーサ明理(あかり)さんの監修です。月明かりのように、やわらかな白い光で幻想的に照らし出されるさまは、京都観光気分を引き立ててくれますよ!
2019 年 1 月には、創立 70 周年を記念した「初笑い 松竹新喜劇 新春お年玉公演」で南座のお正月を飾った扇治郎さん。今後も、どんどん南座の舞台を踏みたいと話してくださいました。これからの活躍がますます楽しみな扇治郎さんと、表現の可能性や利便性をグッと高めた南座から、これからも、目が離せません!
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(取材・文 あさかよしこ/写真 杉本幸輔/
南座写真 松竹株式会社)
藤山扇治郎さん
ふじやま せんじろう/1987年京都市生まれ。祖父は藤山寛美、父は小唄白扇流の家元、母は寛美の五女、伯母は藤山直美。幼い頃より日舞に接し、歌舞伎の舞台でも名子役ぶりを発揮。2013年、劇団創立65周年特別公演で松竹新喜劇に正式加入。劇団以外の舞台にも多数出演し、映像での活躍も目覚ましい。
【twitter】@senjirou0121
【Instagram】@fujiyamasenjirou
南座
【住所】京都市東山区四条大橋東詰
【電話】075-561-1155
【松竹HP】http://www.shochiku.co.jp
【アクセス】◯ 京阪電鉄 祇園四条駅[6 番出口]スグ
◯ 阪急電鉄 河原町駅[1 番出口]徒歩 3 分
◯ JR 京都駅からは車(タクシー)が便利
企画・構成=玉井雄大
たまいゆうた●月刊『茶の間」編集部員。滋賀県出身。自然や映画、銭湯、禅、詩、酒など“本質を語れるものごと”好き。茶道もその一環ですが、第一子誕生によりお休み中。今は流派にとらわれず、お家でセルフ抹茶を楽しみます。