女子旅で泊まりたい!京都のおしゃれなデザインホテル4選

東京オリンピックや大阪万博を控えて、ホテルの建築ラッシュで沸く京都。建築やインテリアに、オーナーやクリエイターのセンスが光るデザインホテルが今、京都に急増しています。古都ならではの洗練されたもてなし、素材が引き立つ料理、行き届いたサービスが光る4つのホテルをご紹介。

女子旅はもちろん、お一人様やカップルにもおすすめ! 行くだけで友人や家族に自慢できる、おしゃれなホテルで京都旅をもっと楽しんでみませんか。

ザ・スクリーン
寝室は畳、リビングは洋間という和洋折衷のデザインが特長の101号室。

01. THE SCREEN 〜寺町丸太町〜

01. THE SCREEN 〜寺町丸太町〜

13組のクリエイターが手がける、エモーショナルな13の部屋が魅力!

13組のクリエイターが手がける、
エモーショナルな13の部屋が魅力!

ファッションデザイナー、日本画家、プランナーなど、世界的に活躍する13組のクリエイターによって手がけられた、13の異なる客室を擁(よう)する「ザ・スクリーン」。京都御苑の緑を望む御所南に位置し、寺町通の落ち着いた町並みに溶け込んだ外観は、ホテルというより現代美術館といった趣です。

比叡山延暦寺の襖(ふすま)絵を手がけた日本画家・中村哲叡(てつえい)氏がプロデュースした101号室は、琳派(りんぱ)を思わせる襖絵が外国人観光客に人気。ベッドルームは和の雰囲気で、リビングルームはモダンな洋室という対比が鮮やかです。キモノデザイナーの斉藤上太郎(じょうたろう)氏は、壁面に西陣織や朱漆(しゅうるし)を用いた妖艶な雰囲気の201号室を担当。ニューヨークの高級レジデンスをイメージした401号室は、ラグジュアリーなインテリアと、白を基調にしたモダンな空間に「いつかこんな部屋に住んでみたい」という憧れが募ります。他にも、黒で統一された304号室や、家紋をモチーフにした102号室など、時代の先端を走る鋭い感性が切り取ったデザインは、いずれもスタイリッシュで刺激的。それでいて、芯からくつろげる居心地のよさは、和の情緒が全体をゆるやかに包んでいるからかもしれません。

天井や襖に配された日本画がオイルランプのやわらかな灯りで照らされるレストランも圧巻のデザイン。京野菜をふんだんに使った軽やかで繊細なフレンチが、もうひとつのアートのように目と舌を楽しませてくれます。コースでもアラカルトでも利用できる自在さも魅力です。

ザ・スクリーンの寝室
78㎡の広さを持つ201号室。超大型のプロジェクターも備わり、早めにチェックインして「籠もる」ゲストも多いとか。
ザ・スクリーン401号室
おしゃれで、機能的で、居心地もよいという理想の暮らしをイメージした401号室。
BRON RONNERY
京野菜をふんだんに使用した本格的フレンチレストラン「BRON RONNERY」。大切な人との贅沢な時間を華麗に演出するコース料理が評判!
THE SCREENの外観

THE SCREEN(ザ・スクリーン )

【住所】京都市中京区寺町丸太町下ル下御霊前町640-1
【電話】075-252-1113 【部屋】全13室 【料金】2名
1室/101号室32,400円〜
201号室63,000円〜
401号室39,400円〜
すべて税・サービス料・宿泊税込
【予約】HP https://www.screen-hotel.jp、または電話にて

02.SAKURA TERRACE THE GALLERY 〜東九条上殿田町〜

02.SAKURA TERRACE THE GALLERY 
〜東九条上殿田町〜

現代アートに彩られた空間に、住むように泊まる楽しみ

現代アートに彩られた空間に、住むように泊まる楽しみ

SAKURA TERRACE THE GALLERY
いたるところにソファやテーブルが配置された開放的なパティオ。

観光、出張、滞在……。さまざまな旅の形に対応しつつ、ゆったりと時間を過ごせるホテルが京都駅八条口にあります。

吹き抜けのエントランスを抜けると、広く開放的なパブリックスペースがとられ、フリードリンクで一息ついたり、グラフィックアートに見入ったり、偶然隣り合せた人同士が打ち解けたり。思い思いにくつろぐゲストの姿が印象的です。ホテルのロビー=待合せ場所というイメージを超えて、人が出会い、憩うコミュニティーの場として開放された空間は、クリエイターによるアート作品が配置され、遊び心にあふれたデザイン。ホテルのブランド名「SAKURA TERRACE (サクラテラス)」の文字が隠されたグラフィックアートや、フロントデスクの前で刻々と表情を変える炎の揺らぎ、パッと目を引くラウンジや大浴場のサイン……。かしこまったシティーホテルとも、機能性だけを重視したビジネスホテルとも違う、風通しのよい、のびのびとした雰囲気が魅力です。

ホテルで過ごす時間も旅の目的の一つとして捉え、滞在を楽しんでほしい。そんなコンセプトを最も強く感じるのは、客室よりもバルコニーを広くとった「ルーフダブル」。空を見上げてのんびりと座っていると、何をするわけでもないのに時間が経つのを忘れてしまうから不思議です。ジムで軽く汗を流し、大浴場でからだをほぐした後は、フリーカフェで自家焙煎のコーヒーを飲みながら旅の思い出を語り合う。シェフが腕をふるうダイニングで、ジャズの生演奏とともにディナーを楽しむ。特別どこかへ行かなくても満たされる、無為にして贅沢な時間がここには流れています。

SAKURA TERRACE THE GALLERY
座り心地のよいソファに座って、館内のざわめきに耳をすませているだけでも楽しい。
男湯・女湯
クールな男女のグラフィックアートが大浴場の男湯・女湯のサイン。写真を撮る人も多いという壁画の中には、ホテルの名前が隠されている。
バルコニー
「ルーフダブル」のバルコニー。色彩とアートが融合したポップな客室や、木目調の落ち着いた客室など、さまざまなタイプが用意されている。

SAKURA TERRACE THE GALLERY
(サクラテラスザ・ギャラリー)

【住所】京都市南区東九条上殿田町39
【電話】075-672-0002
【部屋】全220室
【料金】1室1泊 12,000円〜(消費税込) 朝食別 ※料金は季節によって変動※宿泊税は別途必要
【予約】HP sakuraterrace-gallery.jp、または電話にて ※宿泊は13歳以上から。一組につき5名以上の団体予約は受付不可。

03. MUME 〜東山区新門前通〜

03. MUME 〜東山区新門前通〜

 赤いドアが女性心をわしづかみ! 通りすがりの観光客もとりこに!

赤いドアが女性心をわしづかみ!
通りすがりの観光客もとりこに!

ムメの外観
真っ赤なドアが印象的なエントランス部分。ここからMUMEの世界が始まる。

閑静な新門前(しんもんぜん)通に、梅が一輪ぽっと咲いたような紅い扉が引き立ちます。梅の学名・「Prunusmume(プルナスムメ)」から名付けられたデザインホテルは、オーナーである柴田尚子(ひさこ)さんの「心ときめくもの」だけで満たされた異空間。吹き抜けの玄関ホールにはシャンデリアがまばゆい光を放ち、その奥には、どこまでも優美で幻想的なサロンが広がっています。白川(しらかわ)の楚々とした流れを望むように大きくとられた窓は、季節の色を写し取る額縁のよう。読書をしたり、お酒や珈琲を楽しんだり、時にはゲスト同士が意気投合したり。宿泊した人が思い思いの時を過ごすパブリックスペースとして開放されています。

「ムメ」のはじまりは、「異国の友人を招くために」と構想した邸宅から。中国のエキゾチックな雰囲気とヨーロッパの華やかさが融け合った美術様式・シノワズリのデザイン、印象的に配された西洋のアンティーク、そして、ゲストへのあたたかなまなざし。そのすべては、柴田さんが若い頃に世界中を旅した記憶をひもとき、「まるで夢の城だった」パリの小さなホテルの思い出にあるそうです。旅を印象づけるもてなしは、「自分がしてほしいこと」を基準に、食事や観光の提案、緊急時の対応まで、すべてオーダーメイド。再訪する人が多いのは、古くからの知人に出会ったような、ほどよい距離感と親しさの入り交じった接客が心を打つからなのでしょう。「花蝶風月」をコンセプトにデザインされた客室は全7室。京の老舗「唐長(からちょう)」の唐紙がアジアとヨーロッパの調度品をゆるやかにつなぎ、異国の薫りただよう中にも京の風情が匂い立ちます。

MUMEの客室
北側の大きな窓から白川の風景が眺められる、明るく風通しのよい「風」の客室。他にバルコニー付のスイートルーム「花」、赤と黒を効果的に配した妖艶な「蝶」、夜の静けさをイメージしたコンパクトな「月」と、客室は4種類全7室。
MUMEのサロン
朝食会場としても使われるサロンでは、アルコール(17時〜19時)やソフトドリンク(一日中)が無料で提供される。白川を間近に望む窓際は特等席。
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「京都なので、昼や夜は和食を召し上がるお客様がほとんど。それなら朝は洋食が喜ばれるかなと思って」と尚子さん。お客さんの起床時間に合せて焼き上げる自家製パン、フルーツサラダ、野菜のスープなど、専属のキッチンスタッフがつくる手の込んだ朝食も好評。

MUME(ムメ)

【住所】京都市東山区新門前通梅本町261
【電話】075-525-8787
【部屋】全7室
【料金】1泊1室(2名)24,400円~ 朝食付
【予約】HP https://www.hotelmume.jp/main.html
または電話・メールinfo@hotelmume.jpにて

04. MALDA KYOTO 〜堺町御池〜

04. MALDA KYOTO 〜堺町御池〜

 青・赤・墨の3つの部屋がインスタ映え必至!

青・赤・墨の3つの部屋がインスタ映え必至!

マルダ京都
朝起きたら白湯を飲むとか、ミルクを温めるなど、旅に出ても生活のスタイルをなるべく崩さずにいられるようにと用意されたキッチン。京都の食材を購入して簡単な調理を楽しむこともできる。(MALDA KYOTOの写真提供:影山優樹)

「首尾一貫した手仕事」をブランドの精神に据え、天然素材を持ち味とした服づくりで知られるデザイナー、ヨーガン・レール。自然への憧れと畏(おそ)れを生きることの哲学とした彼に捧げるかのように建てられたのが「マルダ京都」です。迎えるゲストは一日3組のみ。60平米のワンフロアに一室という客室は、それぞれに青・赤・墨と名付けられ、少しずつ異なるデザインでまとめられています。

「街の中にいても自然を感じられる、素朴と洗練がとけあう美しい空間を意識しました」。そう話すのは、建築家であり経営者でもある藤本信行さん。独特の陰影を生む左官仕上げの壁面は土の気配をかすかに残し、足裏をやわらかく刺激する洗い出しの床は、素足の感触を思い出させます。手縫いコットンの部屋着をまとえば、着心地のよさは、人の手が紡ぐ精緻な仕事に依っていることに気づきます。南側に大きくとられた窓からはたっぷりとした陽の光が入り込み、行き交う人のざわめきや、街の音がかすかに響いてきます。隔たってはいるけれど、完全には閉ざされてはいない。繭の中にいるような安心感と居心地のよさが、京都の中心部にひっそりと用意されてあることに驚きます。

そして、ここにテレビと使い捨ての歯ブラシはありません。あふれるような情報から一旦遠ざかり、同行者と心ゆくまで語り合う。ものや環境になるべく負荷をかけない旅の形を思い描く。日常の雑事や雑念から開放され、自分自身と素直に向き合うための、美しき静かな空間。佇んでいると、豊かさとは何か。その答えがふと、頭をよぎるような気がします。

赤(AKA)の部屋
赤(AKA)の部屋。壁の色に呼応するようにして、ベッドカバーや小物類が選ばれている。
墨(SUMI)の部屋
墨黒で落ち着いた雰囲気の墨(SUMI)の部屋。
マルダ京都の朝食
京都近郊の旬の有機野菜をたっぷり使った朝食は、指定した時間に各部屋に届けられる。
マルダ京都
京都の日常の暮らしが色濃く残る姉小路通に位置し、1階には焼き立てのマフィンやクッキーが楽しめる「カフェ・マルダ」がある。

MALDA KYOTO(マルダ京都)

【住所】京都市中京区堺町通御池下ル丸木材木町684
【部屋】全3室
【料金】1室(3名まで)36,000円~
【予約】HP https://www.maldakyoto.com
または予約専用電話080-1456-5967
(9時~18時)にて
【カフェ】10時~19時
無休(年末年始・メンテナンス日を除く)

それぞれ違う楽しみ方ができるデザインホテル4選をご紹介しましたが、泊まってみたい!と思うお気に入りのホテルは見つかりましたか? こんなに素敵なホテルに泊まれば、京都旅がもっと有意義なものになるにちがいありません。観光やビジネスで京都を訪れる際は、ぜひとも泊まってみてください。

 

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取材・文=米村めぐみ
よねむらめぐみ●月刊『茶の間」編集部員。出社したらまずはお茶!仕事中はお茶ばかり飲んでいるといっても過言ではないほど、日本茶が好き。作家ものの湯呑など、うつわあつめが趣味。おいしい茶菓子にも目がありません。