眠れない人必読!今夜から熟睡できる、3つのセルフケアの方法!

「寝つきが悪い」「夜、目が覚めてしまう」「熟睡できない」そんなことはありませんか?仕事や人間関係のストレスや不安で寝つきが悪かったり、年とともに熟睡できなくなったり……。でも実はちょっとした知識で睡眠は改善できるんです。快眠セラピストに聞きました。

寝室の写真

教えてくれる人
三橋 美穂さん

寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、特に枕は頭を触っただけで、どんな枕が合うかわかるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100』(かんき出版)ほか、日本語版を監修した『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(飛鳥新社)はシリーズ累計100万部を突破した。http://sleepeace.com/

三橋 美穂さん

睡眠時間にこだわりすぎていませんか?

質のよい睡眠をとることは、健やかな毎日を送る上で欠かせませんが、不安やストレスを感じていたり、年齢を重ねることで眠りにくくなるのも事実です。例えば、60代以上のシニアの睡眠のお悩みを聞いていると、「寝つきが悪い」「何度も目が覚める」「朝早く目が覚める」の3つが主に挙げられます。そうしたお悩みを抱える人たちの話をじっくり聞いてみると、 原因は「寝床にいすぎること」であることも多く、自覚なく、8時間以上いる人もいるのです。60代以上だと、6時間半も寝られれば充分という見解もありますし、数字にこだわらず、自分にベストな睡眠時間を見つけたいものです。

また、眠たくないのに無理に寝ようとしていませんか? そのことが逆にストレスとなって寝つきにくく、夜中に目覚める回数が増え、睡眠の満足度が低下していることも。

寝る時間よりもまず、起きる時間を定刻にし、自分のリズムを調整してください。そして、日中、どうしても眠たくなったら、15時までに、30分以内の昼寝がおすすめ。それ以降の時間に寝ると、夜の睡眠の妨げになってしまうので要注意です。さらに、あまりに早朝に目が覚めて、朝に散歩をしている人は、夜の散歩に変えてみてください。光は体内時計に作用するので、朝早くから光を大量に浴びると、体内時計がどんどん前倒しになってしまい、悪循環です。

ノンレム睡眠とレム睡眠
ノンレム睡眠とレム睡眠
ノンレム睡眠とレム睡眠

眠れなければ眠らない、眠くなったら眠るのが吉!

眠れないと心配している人、悩んでいる人は、昼間の自分の行動を思い返してみてください。たとえ睡眠の悩みがあったとしても、日中にいきいきと活動できているようであれば、深刻に考える必要はありません。日中の活動・心身の状態をバロメーターに、気にしすぎないことも快眠への近道です。「眠れなければ眠らない、眠くなったら眠る」。このシンプルな法則を覚えておいてください。

「昼の活動」と「夜の睡眠」

「昼の活動」と「夜の睡眠」は光と影のように、呼応する関係。よい眠りのためには、日中、適度な運動が必要です。昼間に活動的に過ごしている人は睡眠障害になりにくいというデータも出ています。家に閉じこもらず、できるだけ外に出て、ウォーキングやラジオ体操など、無理のない範囲で体を動かしましょう。

今すぐ実践! 快眠のためのセルフケアお教えします!

【その1:入浴で深部体温を上げて深い眠りに導く】

眠りにとって入浴は、よい影響を与えます。まず、副交感神経のスイッチが入るので、心身ともにリラックスできます。また、体の内部の温度である深部体温は、睡眠のリズムと密接に関係しています。深部体温がいったん上がり、急降下するタイミングで眠りのスイッチが入るので、寝る前に入浴で体を温めるとよいのです。

眠りによい湯温は、38℃から41℃のぬるめで、15分ほど浸かります。寝る2時間前までに入浴するのがベストです。

また、薬用入浴剤を入れると、香りによるリラックス効果が得られるのでよいですね。さらに、温泉成分が配合されたものを選べば、より体が温まり、湯冷めもしにくくなるのでおすすめです。

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【その2:寝室で心地よい音楽や香りでリラックス】

仕事や人間関係など、人生には悩みがつきもの。考えごとをしたりしてなかなか寝つけないときは、意識をほかに向けることが大切です。

たとえば、スローテンポで歌詞のないリラクゼーション音楽を小さめにかけて寝るとよいでしょう。波の音や川のせせらぎなど、自然音も快眠へと導いてくれます。音楽にはマスキング効果があり、頭のなかの悩みなどの雑念を消してくれるのです。

また、脳にストレートに伝わり、一瞬のうちに気分を変えることができる香りも活用してみてください。寝る前におすすめなのは、鎮静効果をもたらす成分を含むラベンダーの香り。一番手軽な方法は、ティッシュなどに精油を一滴含ませて、枕元におくことです。心地よいと感じる音楽と香りで、眠れない夜とさよならしましょう。

リラックス

【その3:「4・4・8呼吸法」で心を落ちつける】

「寝なきゃ…」と焦るほど、眠れなくなること、ありませんか。そんなときに寝床で試してほしいのが「4・4・8呼吸法」。4・4・8とは、4秒かけて息を吸った後に4秒息を止め、8秒かけてゆっくりと息を吐くことです。呼吸することに意識を集中することで心は落ちついてきます。合計16秒を1サイクルとし、4〜10回繰り返してみましょう。

4・4・8呼吸法

【おまけ】
これってよいこと?悪いこと? 快眠のための知っ得Q&A!

【Q1.靴下を履いて寝てもよいの?】

A.
ゆるいものならOKです。眠りのスイッチは体温が下がるときに入りますが、このとき、手や足から放熱することによって体温を下げています。この放熱をさまたげないことが重要なので、ぴったりとした靴下はNG。どうしても足が冷える場合は、ゆるめの靴下を履くか、足湯で温めてから就寝するのも一案です。

【Q2.眠りによい食事はある?】

A.
からだを温めるものがおすすめです。入浴同様、夕飯で深部体温をしっかり上げることで、下がったときに眠りやすくなります。いろんな具材を楽しめてあたたまる、お鍋やスープなどがよいですね。また、唐辛子などの香辛料も体温を上げることができますが、辛みに敏感な人は逆効果になるので無理しないようにしてください。

【Q3.寝る前にお酒を飲んでもよい?】

A.
やめましょう!お酒を飲むと、たしかに寝つきはよくなりますが、アルコールが分解される睡眠後半になると、交感神経の働きが活発になって、眠りが浅くなります。眠れないからと毎晩飲み続けていると、だんだん酒量が増えていき、眠りの質が低下してしまいます。さらに、睡眠時無呼吸症候群やいびきが起きやすくなります。

【Q4.足がむくんで寝られない時はどうしたらよい?】

A.
足を高く上げましょう。血液の循環がうまくいかないことで起こる足のむくみ。とくに筋肉量の少ない女性はむくみやすくなります。足がだるくて眠れないときは、仰向けの体勢になり、座布団などをふくらはぎの下に敷き、寝る前の15分ほど足の位置を高く上げてみてください。

【Q5.豆電球をつけたまま寝てもよい?】

A.
真っ暗がベターです。豆電球のような小さな灯りでも、眠りを誘うホルモン「メラトニン」の分泌に悪影響を与えることが分かっています。さらに、眠りが浅くなり食欲を増進させるホルモンが増えて、太りやすくなるというデータも! 真っ暗にするのが不安な人は、光源が直接目に入らないフットライトなどを利用しましょう。

【Q6.ペットと一緒に寝てもよい?】

A.
残念ながら、快眠の点ではNGです。ペットの癒し効果は抜群ですが、一緒に寝ることはおすすめできません。ペットの鳴き声、ごはんの催促、添い寝による寝返りの打ちにくさなどで、睡眠が中断されるからです。特に寝返りには、疲れをとったり、血液やリンパの流れをよくしたりする重要な役割が。適度な距離を取り、別々に寝ましょう。

【Q7.睡眠時無呼吸症候群やいびきの改善はどうしたらよい?】

A.
舌回し体操がおすすめです。特に閉経後の女性は、筋力が低下し、気道が狭くなるため、睡眠時無呼吸症候群やいびきに悩まされることも。よく寝ているはずなのに、日中眠気があれば、疑ってみて。そんなときは舌の筋肉を鍛える舌回し体操が効果的。口を軽く閉じた状態で、口のまわりを内側から、舌先でプッシュしながらゆっくり回します。左まわり2回、右まわり2回を1セットとし、朝昼晩に各3セットを行なってください。また、呼吸しやすい高さの枕を使うことも大切です。

舌の筋肉を鍛える舌回し体操

快眠セラピスト・三橋美穂さんのお話、いかがだったでしょうか。ご自分の眠れない原因や解決策など、当てはまることはありましたか。今回の記事を参考に、自分に最適な睡眠を手に入れて、健やかな毎日をお過ごしくださいね。

(本文内イラスト 梁川友世)

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取材・文=米村めぐみ
よねむらめぐみ●月刊『茶の間」編集部員。出社したらまずはお茶!仕事中はお茶ばかり飲んでいるといっても過言ではないほど、日本茶が好き。作家ものの湯呑など、うつわあつめが趣味。おいしい茶菓子にも目がありません。