法則を押さえてプチプラでも素敵に!お正月テーブルコーディネート

おせちや年越そばなど、特別なお料理が並ぶ年末年始は、お料理だけでなくうつわや盛り付けにもこだわって、すてきな演出をしてみませんか? 家にあるうつわや100均で手に入るものでも、工夫次第で華やかなテーブルコーディネートができます。そのコツを、教室などを主宰する山口さんに教えていただきました。

山口あゆ美さん

サロン・ド・ヴィーヴル主宰
山口あゆ美

20年にわたる料理&テーブルコーディネート教室主宰を経て、現在は日常で着物を着るライフスタイルを提案。着物の着付けレッスンのほか、これまでの経歴や趣味を通して、毎日を心豊かに楽しむアイデアを発信している。

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シーン1:おせち
清々しい白のうつわで華やかに

シーン1:おせち
清々しい白のうつわで華やかに

「毎日の暮らしを心豊かに」をテーマに、忙しい暮らしの中でも、ちょっとした工夫で、家庭でも簡単に取り入れられるテーブルコーディネートを紹介している山口あゆ美さん。

お正月のごちそうといえば、おせち。通販などでも手軽に買うことができますが、見せ方次第で、おしゃれに、よりおいしそうに見せることができます。

「白いお皿はお正月の清々しい雰囲気を出すのにぴったり。漆器を取り入れるのもお正月らしさが出ておすすめです」

全体をまとめるためには、色の数を絞ることがポイントだと言います。今回は若草色のテーブルクロスを使いましたが、白などでもまとまりが出ます。花を飾る花器に使ったのは、なんと朱色のお重。生け花のテクニックがなくても、投げ入れるだけで華やかにみせることができます。

さらに、市販のおせちやお惣菜も、盛り付けを工夫することで、立派なハレの食卓に。

「コツは立体的に盛ることです」

煮物は土台になるような大きなものを奥に置き、立てかけていく感覚で盛り付けるのだとか。エビなどの赤い食材の隣に、サヤエンドウなどの緑のものを添えると、色が映えてより彩りがよくなると言います。祝い肴は一切れずつ小皿に盛って八寸風に。

「和食の盛り付けのポイントは、左右対称に盛らないこと。少し中心をずらして置くとかっこよく見えます」

器や盛り付けを工夫するだけで、料亭のような食卓ができあがり。今年のお正月は、ぜひ華やかに食卓を彩ってみてください。

盛り付けは、中心になるものを少しずらし、完全な左右対称ではなく非対称にするとよい。高さに変化をつけて平板にならないように。
特別な花器やテクニックがなくても、松や南天、菊などを切り溜め(重箱)に入れるだけで、お正月のイメージになる。テーブルがより華やかで、おめでたい印象に。
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シーン2:おせち
黒を基調にシックにまとめる

シーン2:おせち
黒を基調にシックにまとめる

普段使いの器や100円ショップなどでも手に入るようなものを使って、すてきなコーディネートができると言います。

「ポイントは色を揃えること。普段から“白”や“青”など、自分の好きな色の器を集めておくと、柄が違うものであっても統一感を出せるんです」

山口さんが年越しにと用意したのは、越前そば。

「越前そばは、やはりおろしでツルッといきたいですね。大晦日ですから、しっとりとした雰囲気でまとめましょう」

取り出したのは、白地に青の模様が入った器たち。そこにポイントで黒の折敷を合せると、高級感が出て、特別な雰囲気がグッと増します。

「盛り付けるときは高さを意識して、そばは何度かに分けてこんもりと山になるように盛るといいですよ」

大根おろしもたっぷりと山に盛り、海老の天ぷらも立たせるように添えると立体感が出て、よりおいしそうに感じます。

「一年を振り返る大晦日は、ゆっくりとしたい特別なとき。高級感を出した落ち着いた色合いで、演出してみてはいかがでしょうか」

よく見ると器の柄はバラバラ。しかし、色が統一されていることでまとまりが生まれる。
盛り付けるときは高さを意識して、立体的に盛るとよりおいしそうに見える。
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シーン3:おせち
遊び心を感じるおもてなしに

シーン3:おせち
遊び心を感じるおもてなしに

お正月に遊びに来たお友達とのお茶会は、遊び心をプラスして、サプライズのある演出はいかがでしょうか。

「ミニサイズの重箱にお菓子を入れてみてください。蓋を開けるときのワクワク感と、ちょっとしたサプライズ感が出ます」

お重はお正月らしさも演出できるアイテムで、あらかじめセッティングしておけるのも便利。

そして、ぜひ挑戦してほしいと山口さんが言うのが、日本茶をティーカップでいただくことです。

「実はティーカップは、かつてヨーロッパで磁器をつくる技術がなかった頃、日本や中国でつくられて輸出されていたんです。また、日本茶も紅茶も元は同じ茶葉ですから、ティーカップで日本茶を飲んでも、面白いんじゃないかと思って」

白のティーカップに、日本茶の緑色がよく映えて、見た目にもキレイです。ティーカップには、茶托を合せて、ソーサーは取り皿として使います。

「テーブルクロスは、どこか中国を思わせる柄で、西洋から見た東洋をイメージ。テーブルコーディネートでこういう冒険ができるのも、おうちでのお茶会ならではです」

お正月の華やぎに、肩肘のはらない、だけど特別感のある演出をプラスして。新年から楽しいお茶時間を過ごせそうです。

ポイント① 意外性を出す。意外性のある取り合せで、お客様に驚きを。ティーカップを茶托にのせても、違和感がなくなじみ、日本茶の色もきれいに映えるのでおすすめ。ソーサーはお菓子の取り皿にもちょうどよいサイズ。カップと揃いになっているから、統一感も出る。
ポイント② サプライズを演出お重を使えば、事前にセッティングしておくことができ、お客様にもどんなお菓子が入っているか、ドキドキ感を楽しんでもらえる。

おわりに

高価なものを用意しなくても、盛り付けをちょっと変えてみたり、お正月らしいアイテムをポイントで使うだけで、グッと雰囲気が増して特別感が出せるもの。1年の始まりとなる特別なとき、食卓も一工夫して、年末年始を楽しんでください。

(写真 村上文彦)

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編集=羽切友希
はぎりゆき●月刊『茶の間』編集部員。ちびまる子ちゃんが好きな静岡県出身。小さい頃は茶畑の近くで育ち、茶畑を駆け抜けたのはよき思い出。お茶はやっぱり渋めが好き。