空気読みすぎてつらい方へ。自分らしく生きるヒントは「主語」にある

仕事やプライベートで、人に振り回されたり、他人の目を気にしすぎて生きづらさを感じたことはありませんか?3カ月予約が取れないといわれる人気カウンセラー・根元裕幸さんは、会話の中で使う「主語」に自分らしく生きるためのヒントがあると言います。

好きなことを取り戻すために、いきいきと人生を輝かせる方法を教えていただきました。

人気カウンセラー・根元裕幸さんの写真

普段の会話を思い返してみて。会話の“主語”に、生きづらさの原因が見えてくる!

朝起きたばっかりなのに、しんどい。そんなことはありませんか?
本来なら、夜眠って休んだ後の朝は、一番元気なときのはずです。もちろん体調や年齢などの影響もありますから、一概には言えませんが、朝スッキリしない理由の一つは、ストレスかもしれません。それに加えて、テレビを見たときや人と会ったときに笑えなかったり、鉛を引きずっているような感覚を持ったことがあれば要注意。心当たりがあるときは、からだや心がストレスでしんどいと生きづらさを訴えているのかもしれません。

実は僕も、心理カウンセラーになる前は、いろいろな悩みで生きづらさを感じていました。失恋や、仕事、お金のこと、友達がいないわけではないのになぜか孤独を感じたこともあったり…。この生きづらさにどうやって対処していくか、心理カウンセラーになって 15 年、ずっと考えてきました。
そしてたどり着いたのが「他人軸」「自分軸」という考え方です。
「他人軸」とは、周りの状況や相手を優先して、自分を見失うことを指します。
しんどいなと感じている方は、少し振り返ってみてほしいのですが、あなたが最近話したときの “ 主語は誰でしたか? 「あの人がこう言っていたから」「子どもがああだから」「会社が」「夫が」そんなふうに自分以外の人が主語になっていませんでしたか?
主語が他人になりがちな人は、“ 自分 ではなく、相手が中心になりがちです。
自分に自信がない、受け身な人がそういう傾向にあり、相手の意向によって意見や行動ががらりと変わってしまい、振り回されるからしんどくなってしまうんです。
そうした状況を変えるために、僕は、自分を主語にして、「私は」どうしたいと考えて行動する「自分軸」での生き方を提案しています。

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他人に流されるのは一見楽なようで、実はしんどい。まずは自分の感情を取り戻そう

空気を読んだり、和を大切にすることは、悪いことではありません。
ただ、「私は」今どんな気分なのか、何を食べたいのか、どうしたいのか。“ 自分 の意思をきちんと確認し、「自分軸」を持つことが大事です。

例えば、ある集まりに苦手な人がいる。会いたくないと思う。この、“ 自分 ” は “ 会いたくない ” という感情をまず認識するんです。その感情に気づかずに、“ なんとなく 参加してしまうとあとからどっと疲れが出てしまいます。
" 会いたくない という感情に気づけば、そのあとの行動もいろいろ選べますよね。
相手と距離を取るのも一つの方法ですし、やっぱり会わなければならないなら、嫌だけど会った自分を褒めてあげるんです。

こういう “ 嫌だけど という感情の確認や、その後の行動に納得することが「自分軸」を持つということです。苦手な人とは適度に距離を置いてもいいんです。まずは “ 自分がなにをしたいのか、どう思っているかを大事にする。自分が好きなこと、やりたいことがわかって、そのために行動するようになれば、他人に振り回されない “ 自分 らしい生き方になって、しんどさは軽減されていきます。
例えば、夫が定年退職して、ずっと家にいるのがつらいと感じる女性がいました。そういうときは、夫であっても距離を置いていいんです。まずは “ 自分が ” 何をしたいかを優先させる。夫のほうもいい大人ですから、ほったらかしてみてもいいんです。自分が好きなことをしていれば、余裕が生まれます。余裕があるときに夫に構うぐらいが、いい距離感を保てることもありますから。

人生百年時代といわれる現代、環境が変化しても「自分軸」なら、好きなことで人生を楽しめるはずです。

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好きなことがない人なんていない!やりたいことをみつける方法とは?

僕のカウンセリングを受けに来る方は、自分の好きなことを見失っている方が多いです。
でも、僕は、基本的に好きなものがない人はいないと思っています。ところが、人に気を使いすぎたり、失敗し たりして、見失ってしまう。自分には何もないと思っていると、余計にやりたいことができなくなってしまい、「他 人軸」で、人に合せることばかりが増えて、しんどくなってしまいます。だからこそ「私は」「私は」と問いかけ、「自分軸」を取り戻すんです。

そうは言っても、なかなか好きなことがわからないという人もいます。そんな方に薦めている方法が、 昔よく読んでいた本をもう一度読み直してみること。当時の気持ちがよみがえってきて、やりたかったことを思い出します。映画や音楽もいいですね。若い頃のものに触れると、当時の夢や夢中になったものを思い出して、見失う前の好きなことややりたいことを再認識できるんです。
自分が好きなことをしていると生き生きしてきますよね。
心が活性化すると、気分が明るくなって、やりたいことが次々と出てくるんです。こういういいサイクルを生んで、自分らしい人生を楽しみたいですね。

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心理カウンセラー
根元裕幸さん

1972 年静岡県生まれ。大学より大阪府在住。1997年から神戸メンタルサービス代 表・平準司氏に師事し、2000年よりプロカウンセラーとしての活動を開始。以来、 述べ 15,000 本以上のカウンセリングをこなす。2015 年に独立。フリーのカウンセラー、講師、作家として活動を始める。著書は『敏感すぎるあなたが人付き合いで疲れない方法』『敏感すぎるあなたが7日間で自己肯定感をあげる方法』をはじめ多数。

結果的に嫌なことをやることになってしまっても、ただなんとなくやるよりも、一度自分で「嫌だな」と気づいて、それでもやるんだと思った方が、しんどさを感じないという根本さん。
自分の気持ちをまず自覚することが大切なのだそう。
自分の気持ちを大切にして、自分らしい人生を歩んでいきたいですね。

(インタビュー写真 杉本幸輔)

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取材・文=羽切友希
はぎりゆき●月刊『茶の間』編集部員。ちびまる子ちゃんが好きな静岡県出身。小さい頃は茶畑の近くで育ち、茶畑を駆け抜けたのはよき思い出。お茶はやっぱり渋めが好き。