しんどい、つらい、限界。つかれた自分を救う人生の処方箋(前編)

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がんばってもがんばっても報われない。自分はこのままでいいのかな……。そんな迷える方へお届けする心理カウンセラー・心屋仁之助さんからのアドバイスは、なんと“がんばること”を辞めること。そんなことをして本当に大丈夫なのか、不安になる気持ちをぶつけてみると、“がんばらない”に込められた真意、そして、心屋流人生を楽しむ生き方が返ってきました

“がんばること”に隠された悪影響とは?

僕はよく、“がんばらなくていい”って言うんです。世の中には、“いい人”はいっぱいいますが、人は本来、いいところも悪いところも持っています。それを、一所懸命、“いい人”でいようとしているんですね。それは、子どもの頃に、本来の自分じゃダメだって気づくからです。「いい子にしてなさい」と言われて、優しくて、気が利いて、何でもできて、我慢強くならなくちゃって。
でも、人には、わがままを言いたいなど、悪い部分もあるんです。ところが、“いい人”でいようとすると、この悪い部分が置き去りになってしまいます。つまり、本来の自分で生きていないんですね。
だから僕は、がんばって“いい人”でいる人に、「本来の自分に戻りましょう」って言うんです。

がんばる人に悪いことを薦めるには理由がある!

がんばっている人には癖が付いていて、「がんばらないで」と言うと「わかりました!」と気合いの入った返事がくる。丸まったカレンダーのように、ただ伸ばすだけではすぐ元に戻ってしまいます。
じゃあ、どうするか。カレンダーは逆向きに巻き直しますよね。それと同じで、“いい人”は一度思いっきり悪いことをするんです。ずる休みする、無視する、迷惑をかけるって、今までと真逆のことをするんです。それぐらいやって、無理のない、本来の自分に戻るんですね。
ただ、“いい人”で生きてきた人は、そんなことしたら、嫌われてしまうとすごく苦しみます。それが怖くて、今までずっと“いい人”でがんばってきたんですから。嫌われないように、迷惑をかけないように、いつも笑顔でって。でも、それってすごく肩が凝りますよね。

あなたの“迷惑”はほんとに迷惑?

僕は、一番の人を苦しめる教育は“迷惑をかけてはいけない”だと思うんです。みんながそう教育を受けて、また、子どもたちにも言っていると思うんですけど。でも、“迷惑”と感じることって人によって違うんですよ。
例えば、僕は、領収書の整理や計算の仕事がすごく苦手なんですね。それで、自分が不得意だから、人に任せるのも迷惑になるなって思っていたんです。でも、計算が得意で、大好きって人も世の中にはいるんですよ。そういう人にとっては、僕が一所懸命やった間違いだらけの計算を渡されるほうが迷惑で、「最初から任せてくれよ!」ってなるんです。

苦手なものは苦手なままでOK!

今は、「めんどくさい計算でごめんやけど」って人に任せてます。すると、相手は計算が好きだから「ありがとう」、僕も「やってくれてありがとう」となるんです。
つまり、迷惑って、かける側が決めることじゃないんです。「子どもを預けて遊びに行きたい。でも、おばあちゃんに預かってもらうのは迷惑かも」と思っても、おばあちゃんは喜んで預かってくれるかもしれません。それは自分が考えてわかることじゃないんですね。だから、僕はどんどん人に迷惑をかけようって言うんです。

――“迷惑をかけずに、いい人でいよう”が、人生上手くいかない理由だったのかも? 無理していい人でいることを卒業した先に見えてくるものとは……。後編に続きます!

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取材・文=羽切友希
はぎりゆき●月刊『茶の間』編集部員。ちびまる子ちゃんが好きな静岡県出身。小さい頃は茶畑の近くで育ち、茶畑を駆け抜けたのはよき思い出。お茶はやっぱり渋めが好き。