しんどい、つらい、限界。つかれた自分を救う人生の処方箋(後編)

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――いままでの“いい人”を捨てて、悪いことをしたり、人に迷惑をかけたり……。確かに自分は楽になるけど、そんな人ばかりじゃ世の中がめちゃくちゃになるのでは? しかし、心理カウンセラー・心屋仁之助さんは、みんなが我慢してる方がめちゃくちゃになる!と言います。がんばらずに上手くいく心屋流生き方の理由が明らかに!

がんばる自分が他人の邪魔をしている!?

“いい人”って、がんばって、我慢して、私(我)がやる!ってずっと生きてるんですね。この三つの“が”を持っている人を、僕は“がんばる教”と呼んでいるのですが、この人たちは、自分ががんばっているから、がんばっていない、好き勝手な人たちに腹が立つんです。「ずるい!」って。でも、ずるいと思っている自覚がなくて、あの人は間違っていると考えるんです。「私もがんばっているんだから、あなたもがんばるべきだ」「みんなが我慢してるんだから、あなたも我慢するべきだ」って。
でも、世の中にはいろいろな人がいて、がんばれる人もがんばれない人もいるし、得意なことも全然違うから、みんなが同じように我慢して、がんばっているほうがよっぽど迷惑なんです。「その仕事、任せてください」に対して、「いや、私ががんばる」だと、自分が苦しいうえに、他人が活躍する場を奪ってしまいますよね。

「できない」「苦手」って言えばいい

実は、がんばる教の人たちは、うまくいくためには自分でがんばる方法しか知らないんです。うまくいったらがんばったから、ダメだったらもっとがんばらないと。そうやって、自分ががんばって、我慢して、自力の世界で生きているんです。
一方で、がんばる教に入っていない人はどうか。“なんか知らんけど、うまくいく”んです(笑)。それは、他力の世界で、がんばったら、うまくいくかもしれない。でも、自分でがんばらなかったら、もっとうまくいくかもしれない世界です。自力ではどんなにがんばっても一馬力ですが、他力だと他人の力を合せた二馬力以上なんですよね。しかも、面白いことに自分でがんばればがんばるほど、他力の入る隙がなくなっていくんです。「手伝うよ」の申し出も「いいから、いいから」って断って自分でしてしまう。でも、「私は苦手だし、できない」って人を頼れば、他力が助けてくれるんです。

“がんばる”以外の成功法とは?

がんばる教の人は、ずっとがんばり続けていて、苦しいです。そこから抜け出すためには、一度サボったり、逃げたり、悪いことをして、本来の自分を取り戻してください。そのあとで、やっぱりがんばるのが好きだって思ってもいいんです。一度がんばらない人の世界をみていると、人に頼れるようになりますし、がんばらない人がいても許せるんですよ。
ただ、誤解をしちゃいけないのは、がんばらなかったり、好きなことをしていたら、批判する人もいます。自分に都合のいい世界があるわけではないですから。“がんばらない”ことにも、覚悟がいるんです。

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心理アドバイザー
心屋仁之助さん

兵庫県生まれ。大手企業の管理職として勤務していたが、家族や自分の問題をきっかけに心理療法を学び、心理カウンセラーに。現在は京都を拠点として、全国各地でセミナー、講演活動やカウンセリングスクールを運営。メールマガジン「たった一言!あなたの性格は変えられる!」は4万人を超える読者に支持される

  • 公式ブログ「心が風に、なる」
    https://ameblo.jp/kokoro-ya/
  • メールマガジン「たった一言!あなたの性格は変えられる!」
  • 『本当の自分に気づく奇跡の言葉』
    (だいわ文庫)を出版。
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取材・文=羽切友希
はぎりゆき●月刊『茶の間』編集部員。ちびまる子ちゃんが好きな静岡県出身。小さい頃は茶畑の近くで育ち、茶畑を駆け抜けたのはよき思い出。お茶はやっぱり渋めが好き。