やりたいことがわからない。人生に迷う人に効く「魔法の質問」とは?

やりたいことがわからない、どうしたらいいかわからないときは、自分に「いい質問」をすることで見えてくるものがあるという質問家・マツダミヒロさん。マツダさんが開発した、質問をすることでやる気や能力を引き出し、夢を実現させるメソッド「魔法の質問」とは。

がんばっているのに空回りしている、そもそも自分の本当にやりたいことってなんだろう、人生で後悔したくない。そんな人に効く「魔法の質問」について、開発秘話から実践法まで、マツダさんに語っていただきました。

マツダミヒロさん

僕が「質問家」になった理由。
自分が楽しかったことを追求していくと…

僕は「質問家」という珍しい肩書きを名乗っています。
質問をすることで、相談者のやる気や能力を引き出し、行動につなげる活動をしているんです。その本音ややる気を引き出すための独自に開発した質問メソッドを「魔法の質問」と呼んでいます。

僕は大学卒業後に会社を興したんですが、それがあまりうまくいかなくて。20代の最後に、これからどうしようと考えていたんです。
そのときに、今までどんなことが楽しかったか、お金をもらわなくてもやりたいと思ったことはなにか、振り返ってみたんです。

思い出したのは、会社を興したときに大学の後輩たちがいろいろと相談に来たことです。
「ほんとにそれをやりたいの?」とか、聞いたり話したりしているうちに、後輩たちがどんどん本気になっていった経験がありました。その体験がすごく楽しかったんですね。
質問で相手の本気を引き出すことが。
そんな仕事がしたいなと思っていた頃、アメリカではコーチングが盛んで、そこにヒントがあるかもしれないと学びに行きました。

誰かに相談されたとき、アドバイスをする人は多いと思うんです。「なにをしたらいいよ」とか。
でも、教えられたものが、相談者の考えと一致しないときもありますよね。これはティーチングの方法で、自分の知識や経験を相手に教えることなんです。

コーチングは、ティーチングと違い、相手に目標を決めてもらって、どうやったら目標を達成できるかサポートします。教えるのではなく、相手から引き出す。いろいろと学ぶ中で、やはり「質問」が重要だと気づいて、研究するようになりました。

僕が行なっている「魔法の質問」でのルールは、3つ。答えはすべて正解、答えは出なくても正解、答えはすべて受け止める。これは問いかけるのが自分でも他人でも同じです。どんな答えも否定せず、受け止めるからこそ、安心して、質問に答えられるのです。

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「魔法の質問」実践編①
まずは3つの質問の答えを考えてみて!

就職や結婚など、人生の転機はいろいろとあると思います。これからの人生、どういうふうに生きていこう。そんなふうに思った方は、自分らしい人生を生きるために答えてみてください。

「これからの人生でもっとも失いたくないものはなんですか?」
「どんな時間が一番豊かさを感じますか?」
「誰とともに過ごしたいですか?」

この質問の目的は、自分の心が満たされる状況を知ることです。

イライラしていたり、心が不安定だと、攻撃的になり、相手や自分自身を傷つけてしまいます。
でも、自分の心が満たされていると、余裕をもって人に接することができるし、問題があっても地に足をつけて取り組むことができます。そのためには、自分がなにを幸せに思うか、どんな瞬間に幸せを感じるかを発見し、自分の心が満ちている状態を知ることが、とても大事なことです。

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「魔法の質問」実践編②
やりたいことを出して出して出しまくる!

次に、なにがしたいかを考えてみましょう。

今まで仕事をされていたり、人との関わりが多い方ほど、その環境の常識で生きてしまいがちです。
会社にとっての正解、地域の中での正解を考え、自分を押し殺していたり、見失っていたりしている場合が多いんです。それらの制限をはずすために、

「なんでもやっていいとしたら、なにがしたい?」

を誰に気兼ねすることなく答えてみてください。これは、一人でやるか、まったく知らない人と行ないます。知っている人がいると、その人に気を遣ってしまいますから。

答えるときに大事なのはその数。ベストは100個ぐらいです。

「アイドルのコンサートに行きたい」「一日中ぼーっとしていたい」など、小さなこと、くだらないことでもいいんです。何人かでやると、他の人の答えに刺激されて、いろいろな考えを発見し、「だったら私は……」と気づくことも多いです。

とはいっても、「全然思いつかない!」という人は、逆に、これから二度とやりたくないことを書き出してください。「家事をしたくない」「……旦那の世話」といろいろ出てくると思いますよ。そこから刺激されて、やりたいことが見えてくるかもしれません。

 

この「なにがしたい?」という質問は、実際に答えを書き出すことがポイントです。それによって、自分の考えを客観視できます。

最初はとにかく数を出すことが大切で、一通り出尽くしたら、改めてそれを眺めてみます。本当にやりたいと思ってないことも出てきますから、「本当に」やりたいことを選別していってもいいし、一つ一つ、「なぜそれをやりたいのだろう?」と確認していくと、これからの人生で取り組みたいことが見つけられます。

気をつけたいのは、進めるときの質問の仕方です。

「なんでやらなかったの?」「なんでできないの?」と「なんで」ではじまる質問は要注意。
僕は「尋問」と呼んでいますが、これは自分や相手を責めるための質問です。なぜなら、答えに言い訳が返ってくるから。「なんで遅刻したの?」「電車が遅れて……」と。
でも、質問者は相手に言い訳をして欲しいわけではなく、状態をよりよくしていきたいわけです。言い訳を並べていては改善はできないですよね。これは自分に対してもやってしまいがち。「なんでやらないの?」と始めてしまうと、自分の言い訳がいっぱい出てきて、前に進めなくなってしまいます。

女性

やりたいことを突き詰めると 見えてくるものとは?

なぜそれをしたいと思ったのかを考えると、自分の欲求の本質に気づくんです。

例えば、ダイエットしたい、英語を話せるようになりたいという話はよくききますが、実はダイエットや英語は目的ではなく、ダイエットして異性にもてたいとか、その先にやりたいなにかがあることも多いです。

 

「なぜやりたいと思ったのか?」

 

それを考えることで、自分の欲求の本質に気づいて、より自分がなにをしたいのかを知ることができます。

自分のことでも、突き詰めていくと違った一面が見えてきます。

僕のワークショップでは、こういった質問をいくつかして、知らなかった自分の考えを発見したり、やりたいことを見つける手伝いをしています。
「今までと違った人生になる」という方もいましたね。それは、悪かった人生がよくなったということではなくて、今まで考えもせずにやっていたことをいちいち考えるようになった。
例えば、毎年ある会合も習慣になっているけど、本当に必要? 本当に行きたいの? と。当たり前のようにやっていたことに疑問を持つようになったり、実はやりたくないと気づいたり。

今まで気づいていなかった自分の本音を知ることが、自分らしく生きることにつながるのだと思います。自分の心を知って、悔いなく人生を楽しみましょう。

質問家
マツダミヒロさん

「魔法の質問」主宰。質問家。ライフトラベラー。カウンセリングやコーチングの理論をベースに、自分自身と人に日々問いかけるプロセスを集約し、独自のメソッドを開発。質問するだけで、魔法にかかったようにやる気と能力が引き出され、行動が起こせるようになることから、「魔法の質問」と名づける。各国で 「自分らしく生きる」講演・セミナー活動を行なう。著書は国内外で35冊を超え、メルマガの読者は5万人を超える。1年のうち300日は海外に滞在。

 
魔法の質問 https://shitsumon.jp

マツダミヒロさん

自分の欲求の本質を見極めれば、本当にやりたいことに気づき、それに向かって動き出せるというマツダさん。
答えを出すよりも、考えることが大切といいます。
マツダさんの質問メソッドで、今まで気づかなかった自分の本音が見えてくるかもしれません。

(インタビュー写真 荒川雅臣)

 

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取材・文=羽切友希
はぎりゆき●月刊『茶の間』編集部員。ちびまる子ちゃんが好きな静岡県出身。小さい頃は茶畑の近くで育ち、茶畑を駆け抜けたのはよき思い出。お茶はやっぱり渋めが好き。