京都の女性和菓子職人がおすすめ! リピート必須の絶品和菓子3選

和菓子の本場・京都では、今、繊細な感性を活かした和菓子を創作する若手女性が増えています。そんな和菓子女子に、数ある京都の和菓子店の中で「これぞ」と思うお店を教えてもらいました。京都旅行で足を伸ばしてでも訪れる価値がある名店ばかりです!

若手女性和菓子職人、土田さん

【教えてくれた人】
京都で話題の和菓子の新店「おやつaoi」の店主・土田葵さん

食材と味わいで季節を表現する日常の和菓子をつくる土田葵さん。

2019年5月、京都市北区に念願の工房兼和菓子店をオープンしたばかり。

土田さんが和菓子づくりに携わるきっかけは「おばあちゃんのおはぎ」でした。

「おばあちゃんのつくるおはぎが大好きだったんですが、おばあちゃんが亡くなったとき、そのおはぎも一緒に食べられなくなってしまって……。そこに食文化のはかなさを感じたんです」と土田さん。

記憶の中にある「おばあちゃんのおはぎ」をつくりたいと和菓子の道に進みます。ワークショップやイベントなどで和菓子を販売したり、和菓子教室を開いたりしながら、これまでフリーの和菓子職人として活動してきました。

和菓子の勉強のため、京都や東京など、全国のさまざまな和菓子に触れてきた土田さん。

「ずっと京都にいたので、それまで気づかなかったんですが、京都以外の地域では、一つのお店で上生菓子もお餅もおまんじゅうも、総合的につくるんですね。京都はそれぞれ専門化しているので驚きました。これも和菓子店が多い京都ならではの文化なのでしょうね」

そんな土田さんがおすすめするのが、おばあちゃんのおはぎのように、いつまでも「記憶に残るおやつ」です。

【その1】
何度でも食べたくなる素朴なお餅

あぶり餅

「今宮神社門前の『一和(いちわ)』のあぶり餅は、すぐに食べきれるサイズ感、おこげや白味噌の香りが記憶に残る味わいですね。定期的に食べたい気持ちに駆られます」

そう土田さんが絶賛するお菓子は、今宮神社の門前菓子として創業1000年を超える「一和」のあぶり餅(1人前500円)。

きな粉をまぶし、炭火であぶった餅に白味噌のたれが絡みます。昔から変わらず、手作業でつくられる素朴な味に、ついもう1本と手が伸びてしまうおいしさです。

あぶり餅の一和

一和
【住所】京都市北区紫野今宮町69
【電話】075-492-6852
【営業時間】10:00~17:00
【定休日】水曜(1日、15日、祝日が水曜の場合は営業、翌日休み)

【その2】
寒天、あんこ、あんず、全部がおいしい!

白玉あんみつ

「みつばち」のあんみつは、素材の一つひとつが秀逸だといいます。

「寒天、あんこ、あんず、すべてが手間暇かけてつくられていることを味で感じます。以前から好きだったんですが、つくり手になってみて、その素晴らしさを再認識しました。私にとって〝あんみつといえばみつばち〟です」

白玉あんみつ(650円)は、寒天や煮あんず、あんこ、白玉など、国産素材にこだわりすべて手づくりされています。

別添えの黒みつは、沖縄県波照間島の黒糖でつくられていて甘さ控えめ。さっぱりしているので、あっという間に完食してしまいます。

みつばちの外観

みつばち
【住所】京都市上京区河原町通今出川下ル梶井町448-60
【電話】075-213-2144
【営業時間】11:00~18:00(売り切れ次第終了)
【定休日】日曜・月曜
※席の予約不可。※あんみつの地方発送可。詳しくは電話にて問合せを。

【その3】
大人になって再認識したおせんべいの魅力

白川路

土田家の手土産の定番だった「田丸弥(たまるや)」のせんべいも、大人になってからその魅力に気づいたのだとか。

「とても薄いんですが、ごまの風味がしっかりと感じられます。素朴だけど、もう一枚、と手が進んでしまうんですよね」

京のおせん処の名物「白川路(しらかわじ)」(3枚×8袋詰648円)。

薄いせんべいの中には、黒ごまと金ごまがたっぷり入っているので、ごまの風味が濃厚に感じられます。美智子上皇后さま御用達の甘すぎない上品な味わいが人気のロングセラー商品です。

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田丸弥
【住所】京都市北区紫竹東高縄町5
【電話】075-491-7371
【営業時間】8:30~17:30
【定休日】日曜・祝日
【HP】http://www.geisya.or.jp/~tamaruya/
※持ち帰りのみ。お菓子の全国発送あり。詳しくはHP参照。

日本の四季折々を素材と味で表現する、
和菓子の新店「おやつaoi」

日本の四季折々を素材と味で表現する、和菓子の新店「おやつaoi」

若手女性和菓子職人、土田さん

味と記憶が結びついて、ふとした瞬間に恋しくなるお菓子。

自身も、そんな記憶に残るお菓子をつくりたいと土田さんは言います。

「和菓子というとお茶会などで使われる上生菓子のように、美しい色合いの芸術品を思い浮かべる方も多いと思いますが、私がつくりたいのは草餅や大福などの〝朝生菓子〟なんです。朝つくって、その日中に食べていただく。その季節の素材本来のおいしさを味わって欲しいと思っています」

さくら餅

春の取材時に、土田さんが仕立ててくれたのは、自家製の小豆を使ったこしあんを、道明寺の生地で包んださくら餅。春物のコートを羽織る女性に見立てて、ふんわりと桜葉をまとわせています。

素材から自家製にこだわる土田さん。

お店を開けられるのは週末だけの限られたときだけです。

京都に訪れた際には、土田さんがおすすめする記憶に残るお菓子や、土田さんがつくる和菓子をぜひ味わってみてくださいね。

おやつaoi
【住所】京都市北区紫竹下園生町38-10
【営業日】毎週金曜・土曜
【営業時間】11:00〜16:30
(売り切れ終い)
【Instagram】
oyatsu.aoiで情報発信中

(写真 平谷舞・石川奈津子)

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取材・文=大村沙耶
おおむらさや●月刊『茶の間」編集部員。福岡県北九州市出身。学生時代は剣道に打ち込み、京都に住み始めてから茶道と着付けを習い始める。ミーハーだけど、伝統文化と自然を愛する超ポジティブ人間。