「食べる宝石」琥珀糖とは? 京都の人気作家によるお茶との組合せ6選

琥珀糖をご存知ですか? 近年人気が高まっている和菓子で、実は夏の暑さを和らげるお茶のおともにぴったりなんです。独自のレシピでユニークな琥珀糖を生み出し続ける京都の琥珀糖作家に、お茶と琥珀糖のおすすめの組合せ6つを教えていただきました。

 

琥珀糖と相性抜群な日本茶はこちら

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琥珀糖とは?

琥珀糖

煮溶かした寒天に砂糖を加えることで生み出される、外はシャリッと、中はぷるんとした食感と甘みが魅力の和菓子。その繊細で美しい見た目から、「食べる宝石」とも呼ばれます。

今回は、京都で琥珀糖のカフェ・瑠璃菓(るりか)を営む石井佳鶴子(いしいかずこ)さんに、夏にぴったりなお茶と琥珀糖の組合せを提案していただきました。

01.深蒸し茶×「瑠璃瓢るりふくべ

コクのある深蒸し茶にはほんのり甘い生琥珀®を合せて

コクのある深蒸し茶にはほんのり甘い生琥珀®を合せて

生琥珀と深蒸し茶

しっかりとした風味が特長の深蒸し茶に合せたのは、ひょうたんの形をした生琥珀「瑠璃瓢」。中に入ったそら豆や白餡などの甘みが、深蒸し茶のコクと見事に調和します。

「生琥珀はみつ豆に入っている寒天に似ているんですが、煮詰めている分、寒天よりも歯ごたえがあります」という石井さんの言葉通り、口に含むと、ゼリーに近いつるんとした食感。

白餡の甘みと、添えられた青ゆずの香りが後に残る爽やかなひと品は、深蒸し茶と相性抜群です。

02.若蒸し茶×生琥珀®

爽やかな若蒸し茶を生琥珀®に注いで、 フルーツポンチ仕立てに

爽やかな若蒸し茶を生琥珀®に注いで、 フルーツポンチ仕立てに

フルーツポンチ風生琥珀と若蒸し茶

ブルーベリーが入った甘酸っぱい生琥珀には、さっぱりとした若蒸し茶がぴったり。石井さんが提案するのは、生琥珀を入れたグラスに若蒸し茶を注ぐという、一風変わった楽しみ方。

「フルーツポンチから着想を得て、生琥珀とお茶を一緒に食べてみたらどうだろうと思い付いたんです」

スプーンでそっとすくって口に運ぶと、爽やかな若蒸し茶の風味の後に、生琥珀の甘みが口いっぱいに広がります。見た目にも涼しげな、生琥珀のフルーツポンチ風です。

03.抹茶×「瑠璃の音」&「瑠璃琥珀」

メレンゲやフルーツの甘みは 抹茶の風味と相性抜群

メレンゲやフルーツの甘みは 抹茶の風味と相性抜群

瑠璃の音と抹茶

パリッ。メレンゲでできた「瑠璃の音」という白い琥珀糖は、一口かじってみると小気味よい音が響き、爽やかなレモンの風味が広がります。

一方、繊細なガラス細工のような「瑠璃琥珀」は、外側のシャリッとした層に、やわらかい寒天といちごやゆずが包まれており、食感の違いが楽しめます。

食感が異なるこの二つに合せるのは、ほろ苦い抹茶。琥珀糖の甘みをしっかりと引き立てます。

五感で楽しむ、粋なひと品です。

04.玉露×「淡雪あわゆき琥珀のフローズン」

食感が変化するフローズンの琥珀糖を、 玉露の旨みと一緒に

食感が変化するフローズンの琥珀糖を、 玉露の旨みと一緒に

フローズンの琥珀糖と玉露

どっしりとした旨みの玉露には、琥珀糖を凍らせた「淡雪琥珀のフローズン」を。最初はしっとりとした食感が楽しめ、少し時間が経つと雪のように舌先でしゅわしゅわと溶けていく夏らしい一皿です。

「アドベリーとレモンの皮を使っています。フルーツの酸味と、玉露の濃厚な旨みがぴったりだと思います」と石井さんは話します。

時間とともに変化する食感は、玉露の新たな魅力を引き出してくれます。

05.菊花茶きっかちゃ×「瑠璃絞り」

甘い香りの中国茶が生琥珀®の甘みを引き立てる

甘い香りの中国茶が生琥珀®の甘みを引き立てる

生琥珀と中国茶

緑茶の葉とライチを生琥珀で包んだ「瑠璃絞り」には、香りのよい中国茶が相性抜群。今回は菊花茶という花の香りのするお茶を合せました。菊花茶にクコの実を浮かべれば、ほんのりとした甘さが後からやってきます。

生琥珀を一緒に食べると、ぷるんとした食感とともに、中に入っている緑茶の葉の香りと、ライチの甘みがふわっと広がります。

性格が似たもの同士を合せることで、より一層お互いのおいしさを引き立てる組合せです。

06.和紅茶×「八宝の水無月」

お豆たっぷりの生琥珀®には

お豆たっぷりの生琥珀®には

生琥珀水無月と和紅茶

豊かな香りの和紅茶に合せるのは、やさしい甘さの生琥珀。

こちらの生琥珀は「八宝の水無月」という菓銘通り、白小豆や緑豆、山椒の実、蓮の実など、ていねいに炊いた八種類の素材がたっぷり詰まっています。京都を代表する生菓子の一つである水無月に似た三角形の形をしており、見た目にも涼やか。つるんとした生琥珀の食感と、しっとりした豆の食感が交互に楽しめるのが魅力です。

和紅茶の香りと豆の風味が絶妙にマッチ。和菓子に和紅茶を合せるという発想が斬新です。

瑠璃菓 石井 佳鶴子さん
ユニークな琥珀糖をつくる、 京都の元ガラス作家 石井佳鶴子さんにインタビュー!
ユニークな琥珀糖をつくる、 京都の元ガラス作家 石井佳鶴子さんにインタビュー!

京都・山科に佇むカフェ「瑠璃菓」では、多種多様な琥珀糖に出合うことができます。

 

実は、ガラス作家としても30年以上活躍する石井さん。

 

「若い頃から茶道を習っていて、ガラス工芸を手がけるかたわら、国内外の方を家に招いてお茶席をよく開いていたんです。茶道ではなんでも自分で用意するのが基本なので、お菓子もつくっていました。最初は生菓子が多かったのですが、ある日琥珀糖を出してみると、すごく好評だったんです。何層も重ねてつくるところが、ガラスとよく似ているんですよね」

「素材本来の味を楽しんでほしい」と話す石井さん。瑠璃菓の琥珀糖は一般的な琥珀糖の半分の量の砂糖しか使っておらず、甘さが控え目で素材の味を引き立たせている。
「素材本来の味を楽しんでほしい」と話す石井さん。瑠璃菓の琥珀糖は一般的な琥珀糖の半分の量の砂糖しか使っておらず、甘さが控え目で素材の味を引き立たせている。

そうして、「どちらも中途半端にしたくない」という思いから、ガラス工芸を休み、約3年前に瑠璃菓をオープンさせた石井さん。それ以来、琥珀糖を乾燥させずにつくる、石井さんオリジナルの「生琥珀®」などユニークな琥珀糖を生み出し続けています。中でも、1日1組限定で提供されている、琥珀糖と日本茶などの飲み物のペアリングコースが大人気。味のバランスだけでなく、季節やその人の好みに応じたものを選ぶように心がけているそうです。

 

 「一番よく飲むのは抹茶です。毎朝抹茶を点てて、琥珀糖と一緒にいただいています。煎茶も好きでよく飲むのですが、誰かに淹れてもらったときのおいしさは格別ですね。最近は、香りがよくてからだにもやさしい中国茶や、素朴な味の玄米茶なども飲んでいます。ぜひ、いろいろな琥珀糖とお茶の組合せを楽しんでください」

瑠璃菓

【住所】 京都市山科区西野山中鳥井町140-19
【電話】 080-1526-9700
【メール】 info@rurikakyoto.jp
【定休日】 不定休 ※予約制(メールで受付)
【HP】 https://rurikakyoto.thebase.in

瑠璃菓

【住所】 京都市山科区西野山中鳥井町140-19
【電話】 080-1526-9700
【メール】 info@rurikakyoto.jp
【定休日】 不定休 ※予約制(メールで受付)
【HP】 https://rurikakyoto.thebase.in

生琥珀
生琥珀9個入2,000円(税別)

おわりに

琥珀糖をフルーツポンチに見立てたり、従来の琥珀糖とは違うぷるんとした「生琥珀」をお茶と合せたり……。斬新なアイデアばかりで、何度も感嘆してしまいました。目にも涼しげな琥珀糖は、夏にぴったりですね。

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企画・構成=楠石千晶
くすいしちあき●月刊『茶の間』編集部員。梅干しとみかんがおいしい和歌山県出身。幼少期から梅干茶漬けをこよなく愛す。そのおともにはアイドルと深海魚があれば
言うことなし。