夏は冷茶よりホットがおすすめ!味よし、健康によしの4つのメリット

暑くなるこの季節は、つい冷たい飲み物を飲んでしまいがち。でも、水分補給や冷え対策には、実は熱いお茶がいいんです!しかも、熱いお茶だからこそ味わえるメリットもたくさん。医師と日本茶インストラクターに、熱いお茶の4つのメリットを聞きしました。

k_kajska

水分補給にいい!

k_kskaa

暑い夏の水分補給は、健康維持にとっても非常に大切です。

人間のからだは、1日につき成人で体重1kgにつき、40〜50㎖の水分が必要とされています。水分にはいろいろな働きがあり、血液循環とともに栄養をからだの隅々まで運ぶ一方で、体内の余分な老廃物を排出する機能もあります。

そのため、からだに取り入れた水分とほぼ同量が、汗や排泄などで体外に排出されます。失った水分は、速やかに補う必要があります。特に夏場は汗をよくかくので、水分が体外に出ていきやすく、こまめな水分補給が必要となります。

ではどのように、水分補給をすればいいのでしょうか。

大人も子どもも、食事などで自然に摂取される水分を除いて、1日に約1.5ℓの水分が必要といわれています。

ただし、急に過度な量の水分摂取は、からだに負担をかけるので、避けるようにしましょう。

起床時、朝食、昼食、ティータイム、夕食、お風呂の後、そして寝る前など、1日7〜8回に分けて、コップ1杯、おおよそ200㎖の水分量を目安に飲むことをおすすめします。このとき、冷たい飲み物ではなく、できれば熱いお茶を飲むことを心がけたいものです。

冷たい飲み物だと喉ごしがよく、つい、飲み過ぎてしまいがちです。それを防ぐためにも熱いお茶をゆっくり飲んで水分補給をしてはいかがでしょう。

冷え予防にいい!

k_ssss

夏はクーラーなどで心地よく涼しさを感じていますが、意外にからだが冷えています。さらに、喉が渇いたからといって、冷たい飲み物をがぶ飲みしやすく、それが冷えを引き起こします。

冷えは万病の元といわれます。たとえば胃腸が冷えると消化機能が落ちて、下痢や便秘の原因になったり、抵抗力を弱めてしまい、風邪などを引きやすくなったります。さらに、血行障害やむくみを引き起こしたり、頭痛や腰痛持ちの人は、痛みが強まったりもします。また寝る前に水分を摂りすぎると夜間のトイレの回数が増えて、安眠を妨げます。

ここでいう熱いお茶とは「適度に温かいお茶」を指します。温かい飲み物は、お腹の冷えを防いで胃腸を活性化させ、全身の血行を促進させます。長引くからだのつかれや不調も、冷たい飲み物を温かい飲み物に変えることで改善することもあります。

急須でゆっくり淹れたお茶は香りも味もよく、おいしいお茶をゆっくり飲むことで心身がリフレッシュできます。

熱いお茶で夏の冷えたからだを温めて、疲労を回復させ、今年の夏を元気に過ごしてください。ただ、運動直後や暑い外から帰ってきて大量に汗をかいているときなどは、冷ましたお茶もいいでしょう。

香りが立つからいやされる!

k_kshaaa

爽やかな日本茶の香りを感じると、心がほっとする方も多いのではないでしょうか。清々しい香り、芳ばしい香りと、茶種によってさまざまな香りがあります。茶葉には600ほどの香味成分が含まれており、より強く香りを楽しむなら、熱いお湯で淹れたお茶を楽しむのがおすすめです。

お茶をおいしく淹れるポイントはいろいろありますが、お湯の温度もその1つです。

ほうじ茶や玄米茶のように突き抜ける香ばしさは、熱々の熱湯で淹れるからこそ際立ちます。90度の熱湯を急須に注いで、風味を一気に引き出します。

この時期におすすめは若蒸し煎茶です。製茶する際に蒸し時間が短いため、淹れたときの香り高く、すっきりとした爽やかな香りが特長です。若蒸し煎茶をおいしく淹れるには、70度の湯温で淹れるのが最適です。お湯を70度にするには、沸騰させたお湯を急須に入れ、そのお湯を湯呑に移します。しばらく待って、その湯呑のお湯を再び急須に注いで1分ほど待つと、おいしいお茶が淹れられます。清々しい香りと茶の旨みを味わうのにぴったりです。

そして、お茶の香りを楽しむためには、淹れたてが一番です。暑い夏も、熱いお茶で心癒やされる香りを楽しんでください。

カテキンが多いからいい!

k_kadhs

お茶にはカテキンやアミノ酸をはじめ、さまざまな成分が含まれていますが、お湯の温度によって浸出する成分が変わってくるため、おいしいお茶を淹れるには、それにふさわしいお湯の温度があるのです。

日本茶の主成分である緑茶カテキンは、お茶の水溶性成分ではもっとも含有量が多い成分です。その有用性についても研究がすすみ、健康パワーで注目を集めています。緑茶カテキンを多く抽出するなら、高温のお湯で淹れるのがいいでしょう。また、カテキンはビタミンCを熱から守る作用があり、煎茶に含まれるビタミンCを熱いお茶でも摂ることができます。

カテキンはポリフェノールの一種で、カテキンのなかにもさまざまな種類がありますが、注目したいのは、エピガロカテキンガレートという成分。エピガロカテキンガレートは、水や低い温度ではあまり浸出されず、湯温が高くなればなるほど溶出されやすい性質をもっています。そのため、熱い湯温で淹れるほうがカテキンをより効率的に摂れるのです。八十度以上の温度で淹れるのが、健康のためにはおすすめです。

【 答えてくれたのはこの方々です 】

蔭山 充先生

蔭山 充先生
かげやま医院(大阪府堺市)院長・医学博士。自身のクリニックの他、月に数回、京都大学医学部附属病院漢方外来等で診療を受け持つ。

大西 美佳さん

大西 美佳さん
京都府出身の日本茶インストラクター。日本茶の普及活動を日々精力的に行なう。

健康にもよく、おいしいと秘められた熱いお茶の魅力。暑さに負けそうな毎日でも、熱いお茶をおいしく飲んで、カテキンパワーで楽しく健康に過ごしたいですね!

 

◎合せて読みたい→ 血管年齢に効果があるって本当?医学博士推奨のしょうが緑茶健康法

(取材・文 郡麻江)

planmake_hagiri

編集=羽切友希
はぎりゆき●月刊『茶の間』編集部員。ちびまる子ちゃんが好きな静岡県出身。小さい頃は茶畑の近くで育ち、茶畑を駆け抜けたのはよき思い出。お茶はやっぱり渋めが好き。