若蒸しとどう違う?カテキンが魅力の深蒸し煎茶を楽しむ3つのコツ

日本茶を選ぶ際、「若蒸し」(浅蒸し)と「深蒸し」という言葉を目にするかと思います。その違いをご存知でしょうか? 約10年ほど前から人気が高まっているのが静岡県掛川市発祥の「深蒸し煎茶」です。健康成分「カテキン」で注目されている深蒸し煎茶の歴史やその魅力を引き出す3つのポイントをご紹介いたします。

深蒸し茶の図

健康長寿の街で爆発的な人気を誇る深蒸し煎茶とは?

お茶を蒸す

その名の通り、お茶を加工する際の「蒸し時間」が短いお茶が「若蒸し」、蒸し時間が長いお茶が「深蒸し」と表記されています。

煎茶をつくる工程は、摘み取った茶葉を高温で蒸すことで茶葉の酸化を止めると同時に、生葉が持つ青臭さを抑えます。深蒸し煎茶は、この蒸し時間を長くすることによって茶葉の持つ苦味を抑え、健康成分の抽出量をアップさせるなど、さまざまなメリットが生まれる煎茶なのです。

深蒸し煎茶は、高度経済成長期に、お茶産地として有名な静岡県の牧之原で生まれました。比較的温暖な平地であるため、茶葉が日光を浴びて分厚くなり、通常の蒸し時間では、おいしいお茶に仕上がりませんでした。その悩みを克服するため、蒸し時間を長くすることで、お茶の渋みを抑え、まろやかな味わいを実現しました。現在でも、静岡県で生産されるお茶のほとんどが深蒸し煎茶です。

そんな深蒸し煎茶が全国的に有名になったきっかけは、約10年ほど前のテレビ番組でした。深蒸し煎茶の産地である静岡県掛川市が長寿の街と話題になり、市民は、子どもからお年寄りまで一日に何杯も深蒸し煎茶を飲んでいたと紹介されました。その後、深蒸し煎茶の健康成分に注目が集まり、一躍人気に火がつきます。今では、深蒸し煎茶は全国的に生産され、その生産量は若蒸し煎茶をしのぐほどともいわれています。

深蒸し煎茶の魅力を引き出す3つのコツ

コツ1

蒸し時間を知ろう

コツ1 蒸し時間をしろう

一般的に、若蒸し煎茶の蒸し時間は約30秒、深蒸し煎茶は約60秒とされていますが、中には約120秒も蒸す深蒸し煎茶もあります。蒸し時間の違いによって、茶葉の仕上がりが異なり、そのため、お茶を淹れたときの味や香り、成分に違いが出てくるのです。お茶を選ぶ際は、ぜひ「蒸し時間」にも注目してみてくださいね。

120秒蒸しの茶葉、60秒蒸しの茶葉、30秒蒸しの茶葉
コツ2

深蒸し煎茶をおいしく淹れるために、
帯網急須を選ぼう

コツ2 深蒸し煎茶をおいしく淹れるために、帯網急須選ぼう
網の急須

若蒸し煎茶に比べて、茶葉が細かい深蒸し煎茶をおいしく淹れるためには、急須の「網」がポイントです。胴体部の内側に円筒状に網がぐるりと張られた帯網の急須なら、深蒸し煎茶の細かい茶葉でも目詰まりしづらく、旨みや健康成分を余すことなく抽出できます。

急須の網の役目
コツ3
コツ3 底だまりまで飲み干しましょう!

底だまりまで飲み干しましょう!

底だまり

深蒸し煎茶は、蒸し時間が長いことで茶葉が細かくなる分、湯呑に注いだ際に「底だまり」と呼ばれる沈殿物ができやすいのが特長です。この底だまりには、カテキンや食物繊維、ビタミンEなどお茶の栄養成分が凝縮されています! 健康のためには、この底だまりもしっかりと飲み干すことが深蒸し煎茶を楽しむコツです。

おわりに

「自分の健康は自分で守る」という意識の高まりとともに、注目が集まっている緑茶のカテキン。
深蒸し煎茶には、そんな緑茶カテキンが豊富に含まれるといわれています。
健やかでおいしいお茶時間のおともには、ぜひ「蒸し時間」に注目して「深蒸し煎茶」を選んでみませんか?

企画・構成=大村沙耶
おおむらさや●月刊『茶の間」編集部員。福岡県北九州市出身。休日は、茶道や着付けのお稽古、キャンプや登山に明け暮れる。ミーハーだけど、伝統文化と自然を愛する超ポジティブ人間。