恋が叶う!?京都・ハートの町にできた 世界に一つのご当地マンホール

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今、ご当地マンホールがアツい!

町中の至るところにあるマンホールのフタ。存在は知っていても、特に意識して見たことがないという人がほとんどではないでしょうか。実は自治体ごとにさまざまなデザインが存在し、その数は全国に1万種類以上!そのご当地マンホールのフタのデザインに魅せられた「マンホーラー」なる人々や、マンホールのフタの写真やデザインの由来などが記載された「マンホールカード」が今、SNSを中心に密かなブームとなっています。

そんな中、京都府南東部に位置する宇治田原町で、日本茶の製造販売を続ける株式会社宇治田原製茶場の敷地内に、世界で唯一のマンホールが完成! 構想から1年3ヵ月、たくさんの人々の想いとこだわりが一つになって出来上がったというマンホールとは一体どんなものでしょうか……?

宇治田原町×マンホール=〇〇〇〇

日本緑茶発祥の地として知られ、日本有数の茶産地である京都・宇治田原町。町の形がハートに似ており、お茶を通じて育まれるおもてなしの心と、やさしさや温もりに包まれる「ハートの町」として、今、町を挙げてPRに力を注いでいます。

そんなハートの町を象徴するスポットや商品が、今少しずつ増えています。ハートの形をした猪目窓(いのめまど)で話題となった正寿院(しょうじゅいん)やハートの展望台、ハートの形のメロンパンを販売するカフェなど、どれも女性を中心に人気を呼んでいます。宇治田原製茶場も、宇治田原町を代表するお茶屋として、「ハートの町」をPRするシンボルをつくれないかと考えました。そして、思いついたのが、「ハートマンホール」でした。

お茶の町として知られる宇治田原町内で使われているマンホールは、茶畑で茶摘みをする風景を描いたマンホールです。実際に宇治田原製茶場の敷地内にもあり、これをモチーフにして、これからの宇治田原町にふさわしいオリジナルのハートマンホールをつくることにしたのです。

図案を何種類も考え、社内で協議や選考を重ねた結果、出来上がったのが、冒頭でご紹介しているデザインです。お茶の町とハートの町を表現する絵柄に、格子柄で京都らしさを加え、かわいらしく、一目で印象に残るカラフルなハートマンホールとなりました。

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マンホール製造工場をのぞき見!

今回、ハートマンホールを製造したのが、デザインマンホール鉄蓋のメーカーとして知られる、埼玉県の長島鋳物。ハートマンホールが、一体どのように製造されるのか、興味津々で覗いてきました。

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(左上から時計回りで)2DCADと3DCADを使用し、約1週間かけてハートマンホールのデザインを鋳物に適した図案に仕上げる。職人が彫刻刀で木型模型を作成。溶けた鉄が流れやすい溝を彫ることがポイント。砂の鋳型をつくり、約1500℃になる「湯」と呼ばれる溶けた鉄を鋳型へ流し込み、冷却ラインで冷やす。注湯時にできる突起などを切断し、施盤加工後、塗装へ。熟練の塗装職人が0.1g単位で正確に調合した10色ものエポキシ系樹脂を、均一の厚みになるよう丁寧に溝に入れていく。そして一週間ほど乾燥させれば、カラフルなハートマンホールの完成!
(左上から時計回りで)2DCADと3DCADを使用し、約1週間かけてハートマンホールのデザインを鋳物に適した図案に仕上げる。職人が彫刻刀で木型模型を作成。溶けた鉄が流れやすい溝を彫ることがポイント。砂の鋳型をつくり、約1500℃になる「湯」と呼ばれる溶けた鉄を鋳型へ流し込み、冷却ラインで冷やす。注湯時にできる突起などを切断し、施盤加工後、塗装へ。熟練の塗装職人が0.1g単位で正確に調合した10色ものエポキシ系樹脂を、均一の厚みになるよう丁寧に溝に入れていく。そして一週間ほど乾燥させれば、カラフルなハートマンホールの完成!

最近はハイテク技術も導入されていますが、今回はハートがテーマで、わずか一つだけの製造ということもあり、職人の方が心を込め、丹念な手作業でつくりました。構想からデザインができるまで約1年。そこからマンホールが完成するまで約3ヵ月。こうしてたくさんの人々の想いとこだわりが一つになって出来上がったハートマンホールは、すでに宇治田原製茶場敷地内に設置されています。

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世界中のどこを探しても、たった一つ、ここにしかないハートマンホール。好きな人と一緒に写真を撮ったら幸せが訪れるかも?さぁ、宇治田原町へLet's go!

宇治田原製茶場

【住所】京都府綴喜郡宇治田原町郷之口
【電話】0774-99-8080
【営業時間】午前8時半~午後5時
【交通】
・電車・バスの場合…JR宇治駅・京阪宇治駅またはJR京田辺駅・近鉄新田辺駅からバスで下町下車、徒歩約3分(所要時間約40分)
・タクシーの場合…各駅から約20分
・お車の場合…名神高速道路京都南ICより約1時間、 京滋バイパス南郷ICより約20分

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取材・文=前田尚規
まえだなおき●月刊『茶の間」編集部員。3児の父。編集部内でのお茶博士(決して日本茶インストラクターではない)。その薄い知識をひけらかし、ブイブイ言わしているとかいないとか。休日に子どもたちと戯れるのが唯一の楽しみ。