観光して京都駅へと戻ってきたら午後3時。新幹線の時間まで暇だな…。そんなときの「あと1軒」にぴったりの、とっておきの場所があります。人は多いのに意外と知らない駅周辺のお店。知っていると得をする「ツウ」な駅近グルメを地元編集部がご案内します!
1.老舗茶筒店が手がける人気のカフェで、ひとやすみ。
昭和のモダン建築を活かした、やわらかい光が差し込む空間。
茶筒の老舗・開化堂が手掛ける「Kaikado Café」は、京都の伝統工芸のエッセンスがあちこちに見られます。
「コンセプトは『開化堂の応接間』。
普段、工芸に馴染みがない人にも、実際に触れてもらうことで、『道具』としてのよさを感じてほしい」と店長の川口清高さん。
運ばれてきたチーズケーキのセットを見てみると、皿は「中川木工芸」、フォークは「公長齋小菅(こうちょうさいこすが)」、カップは「朝日焼」、と京都の伝統工芸の見事なコラボレーション。
くつろぎながら過ごすうちに、京都の伝統工芸が自然と身近に感じられます。
Kaikado Café ▶︎ 京都駅から徒歩12分
住所/京都市下京区河原町通七条上ル住吉町352
電話/075-353-5668
営業時間/10:30〜19:00(L.O.18:30)
定休日/木曜、第1水曜
2.喧騒から離れて、静かにお茶を一服
観光地の賑やかさに少し疲れたら、日本茶がいただける「aotake」へ。
細い入口から奥へと進むにつれて、外の音がすっと消え入ります。
建具(たてぐ)をそのままに、町家本来の姿が守られたこちらのお店。
店主の田中貴子さんが、自ら古材を集めて改修を進めたといいます。
「長い年月を経たからこその味のある空間で、ゆっくりとお茶に向き合う時間を楽しんでいただきたいです」
煎茶の他にも玉露やかぶせ茶など、その時々に合ったお茶を提供しています。
古材の温もりに包まれながら、急須でお茶を淹れて味わう贅沢。
旅の予定をしばし忘れて過ごしてみては。
煎茶は季節変わりの小菓子が付いて1,000円(税込)。取材時は、黒胡麻蜂蜜ときな粉ペーストの白玉。1煎目は田中さんが淹れてくれるので、急須に慣れていなくても安心。
aotake ▶︎ 京都駅から徒歩8分
住所/京都市下京区七条通高倉材木町485
電話/070-2287-6866
営業時間/11:30〜18:30(L.O.18:00)
定休日/火曜・水曜
3.うららかな午後の光の中で、爽やかな昼カクテルを♪
旅の合間に、ほっと一息、
おいしいお酒をじっくりと楽しみたい。そんなときはぜひ「Annie Hall Bar」へ。
駅チカとは思えないほどの静かな空間。
バックバーには、700種以上のウイスキーがずらりと並び、長いカウンターはゆったりと心地よく、芯からくつろげます。
「旅の途中の一杯には、ゆっくり飲むウイスキーやカクテルがぴったりです。お酒のことをよく知らないという方も、ぜひ、スタッフにお声がけください。お好みの一杯がきっと見つけられると思います」と店長の辻英和さん。
なんとお昼の12時からオープンしているそう。
明るい京の町を眺めつつの一杯も、旅人ならではの贅沢です。
女性におすすめのオリジナルカクテル「マディラーノ」1,000円(税込)。マデイラ酒に自家製のドライグレープフルーツピールを漬け込み、トニックウォーターで割って、ビターをほんの少し。甘さとほろ苦さ、柑橘の爽やかさをマデイラ酒が包み込んで、甘く深い味わい。
Annie Hall Bar ▶︎ 京都駅から徒歩8分
住所/京都市下京区西洞院通塩小路下ル南不動堂町802 京湯元ハトヤ瑞鳳閣1F
電話/075-352-8475
営業時間/12:00〜26:00
定休日/無休
4.ビールとお肉で、旅の思い出に浸りながら、乾杯!
大きなカウンターとテーブル席がゆったりと配置された空間の奥には、輝くようなドラフトビールのサーバーが目を引く「ダニエルズ ルーチェ」。
「生ビールの種類は合計8種。カジュアルなイタリア料理とともに、気軽に楽しんでいただけます。うちは、ストウブ(鋳物の蓋付き鍋)料理にも力を入れているので、寒いこの季節、温かな一品で体を温めてください」と店長の森隆貴(たかき)さん。
運ばれてきたストウブには、大あさりやムール貝などの多彩な貝が。貝の身はふんわり柔らかく蒸されて、塩だけで味付けをしたスープは、潮の香りが満ちてふくよかな味わいです。
ビールとの抜群の相性で人気なのは、名物・厚切りスペアリブ。たっぷりと肉がついた骨つきスペアリブはどこまでも香ばしく、隠し味のハチミツが甘みを添えて、ビールが進んでしまいそう。
京都駅から徒歩2分のベストロケーションだから、京の旅の思い出に浸りつつ、新幹線前の腹ごしらえに最適です!
ダニエルズ ルーチェ ▶︎ 京都駅から徒歩2分
住所/京都市下京区東塩小路町721−1 京都タワービル北新館4F
電話/075-708-7775
営業時間/平日17:00〜25:00(L.O.24:00)、土日祝15:00〜
定休日/無休
※週末は予約がベター
5.最終列車ギリギリまで楽しめる、珠玉のおばんざい
カウンターの上には、おばんざいの鉢がずらり。
「六角や」に一歩足を踏み入れると、おでん鍋もおいしそうな湯気を立てて、気持ちが弾んできます。
「昔からある京都のおばんざいにプラスαをして、驚きと遊び心のある料理を楽しんでいただいています」とマスターの髙島盛(しげる)さん。
白和えに栗とサツマイモを使ったり、ポテトサラダを細切りのシャキシャキ食感に仕上げたり。
ここでは“外で食べるご飯”の楽しさを余すところなく、提供してくれます。
京の地酒をはじめ、東北や北陸などおすすめの日本酒とともに、まずは、おばんざいの盛り合わせから。
最終列車ギリギリの時間まで、京の旬と彩りをたっぷりと堪能できます!
おばんざい盛り5種1,480円(税別)。
旬の素材を巧みに活かして、見た目も美しく、味もおいしく、彩り豊かな料理に、お酒が思わず進んでしまう。その日の仕入れで変わる「本日の刺身」もぜひ味わってみて。
六角や ▶︎ 京都駅から徒歩8分
住所/京都市下京区七条通り烏丸西入ル東境町172 ネオビルB1
電話/075-354-3789
営業時間/17:30〜23:00(料理L.O. 22:00、ドリンクL.O. 22:30)
定休日/不定休 ※予約がベター
6.新幹線に乗る前に、カラフルな京野菜でエネルギーチャージ!
ごろんごろんとずっしり重そうな野菜たちは、京都・八幡の農家さんが心を込めて育てたもの。
「一瞬(いちしゅん)」主人の岸本万三さんは、日々、食べるものが体をつくるという考えから、農家さんを巡って、納得する野菜たちに出合ったそうです。
「おいしく食べて、野菜の滋養がちゃんと体の一つひとつの細胞に行き渡る、そんな料理を心がけています」
おすすめは「名物 旬野菜の溶岩焼」。旬野菜をごろごろと盛って、香ばしく焼き上げます。醤油バターの匂いが立ち上り、食欲をそそります。
根菜や九条ねぎなど、季節の野菜に合せてメニューが変わるので、リピーターも大満足!
ヘルシーな京野菜は、京都旅で最高の自分みやげとなるでしょう。
金時人参、サツマイモ、ひげ付き九条ねぎ、葉付き玉ねぎ、小芋、にんにくなど、たっぷりの野菜を熱々でいただく。本当に体に優しい野菜は、根も葉もしっかりといただける。「旬野菜の溶岩焼」880円(税別)。
一瞬 ▶︎ 京都駅から徒歩2分
住所/京都市下京区烏丸通塩小路上ル一筋目西南角 駿河屋ビル2F
電話/075-352-7005
営業時間/昼11:30〜14:00
夜17:00〜23:30 (L.O.23:00)
定休日/不定休
京都駅周辺には、おいしいお店がたくさん!
京都駅周辺グルメ、いかがでしたか?
あまり知られていませんが、駅ビル以外にも、ちょっと足を伸ばすだけで、個性豊かな京都のお店に出合うことができます。
「新幹線まで時間がある」「夜行バスまでの時間をつぶしたい」…そんなときに、ぜひご活用ください。
そして、余すことなく京都旅を楽しんでくださいね。
(取材・文 郡麻江/写真 杉本幸輔)
◎合わせて読みたい→夜行バスで京都へ着いたらここへ! 早朝から楽しむ穴場スポット7選
企画・構成=中塚涼
なかつかりょう●月刊『茶の間』編集部員。京都生まれの京都育ちが京都の情報を発信することに。さまざまなうつわと急須を巡る連載を経て、作家もので揃えた茶器でお茶の時間を過ごす構想を練っています。