【保存版】簡単で絶品! 冷たい日本茶の作り方 玄米・ほうじ茶も冷茶で

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 「日本茶」と聞くと、熱いお茶を想像する人も多いはず。急須で淹れる方法は知っていても、意外と知られていないのが、冷たいお茶の作り方です。煎茶や玉露はもちろん、玄米茶やほうじ茶の冷たいお茶の淹れ方、知っていますか? ガラスの器に入った「冷茶」は目にも涼やか。来客時のおもてなしにも最適です。実は、同じ種類のお茶でも淹れ方によって、味わいや旨み成分の種類が変わってくるのです。いつものお茶が、もっとおいしくなる冷茶の淹れ方を、茶種別にご紹介します。

【煎茶】同じお茶とは思えない! 渋みと甘みが引き立つ淹れ方

急激に冷やして淹れた「ロック」と、じっくり時間をかけた「水出し」の煎茶。
急激に冷やして淹れた「ロック」と、じっくり時間をかけた「水出し」の煎茶。

 日常的に飲まれることの多い「煎茶」は、渋みと旨みのバランスのよいお茶です。そのため、同じ煎茶でも抽出の仕方で色や味は大きく変わってきます。煎茶の旨みを引き出す、おすすめの冷茶の作り方は2つ。
 まず、1つ目の淹れ方は「ロック」です。ロックとは、急須を使ってお湯で淹れた熱いお茶を、氷の入ったグラスに注いだもの。煎茶はお湯で抽出すると爽やかな香りと渋み成分のカテキンが引き立ちます。そのため、お湯で淹れて急激に冷やすロックだと、普段の暖かい煎茶の味わいに近い冷茶が楽しめます。氷でいっきに冷やすので、少し濃いめに抽出するのがポイントです。すぐに飲みたい時におすすめです。

 2つ目は「水出し」の淹れ方です。茶葉は、淹れる水の温度が低ければ低いほど、旨み成分であるテアニンが抽出されます。じっくりと時間をかけて淹れた水出しの煎茶は、まろやかな旨みと涼やかな色が印象的。飲み慣れたいつもの煎茶が甘くてまとやかな高級茶に変身します。5〜6時間ほどかかるので、夜の間に作って冷蔵庫に入れておけば、翌朝にはおいしい冷茶が完成。茶葉が完全に開き切るまでは、水を継ぎ足せば何度でも楽しめます。

【玉露】高級なお茶は、氷でじっくり時間をかけて抽出

じっくり、ゆっくりと溶け出す氷ににじみでる、贅沢な甘み。
じっくり、ゆっくりと溶け出す氷ににじみでる、贅沢な甘み。

日本茶の中でも、独特のコクと深い甘みで高級茶として名高い「玉露」は「氷出し」がおすすめです。氷出しは、水で湿らせた茶葉の上に、たっぷりの氷を置いてあとは待つだけ。溶け出した氷水で抽出します。水出しよりさらに温度が低い氷出しにすることで、甘み成分を最大限に引き出してくれます。溶けた氷でゆっくりじっくり、時間をかけて淹れるので、玉露の甘みが際立ちます。一滴一滴に甘みが凝縮された濃厚な出汁のような味わいはまさに最高の贅沢。カラン、と氷の溶ける涼しい音 に耳を傾ける時間も極上です。

【ほうじ茶】渋みをおさえて香り豊かにする水出し

褐色のお茶の色に思わず喉が鳴る一杯。
褐色のお茶の色に思わず喉が鳴る一杯。

食事の時に飲まれるお茶として親しまれている 「ほうじ茶」。その名の通り、焙じて作られる茶葉で、カフェインが少なく、胃腸の弱い人や老若男女から人気の、今、再注目を浴びているお茶です。
そんなほうじ茶は、水出しで淹れると、その特徴である豊かな香りはそのままに、すっきりとした味わいに。低温の水で時間をかけてじっくり茶葉を開いているので、渋みが抑えられ、たっぷりと飲むことができます。暑い日に渇いた喉を癒してくれる爽やかな一杯が楽しめます。

【玄米茶】熱々のお湯で淹れるから、香ばしさそのまま

温かいイメージの強い玄米茶も、冷たくおいしく。
温かいイメージの強い玄米茶も、冷たくおいしく。

元祖ブレンドティーともいえる「玄米茶」。緑色の茶葉の中に「かた」と呼ばれる炒り米がブレンドされているのが特徴的なお茶です。炒った米の持つ香ばしさが魅力なファンの多い玄米茶は、あまり冷たいお茶では見かけませんが、冷茶にしてもそのおいしさは、もちろん健在です。
玄米茶は、熱々のお湯で抽出して氷で急激に冷やすロックの淹れ方がおすすめです。お湯を注いだ瞬間、ふんわりと広がる玄米の豊かな香ばしさと旨み。急激に冷やしているので、玄米の香りはそのまま、冷たいお茶が楽しめます。

【抹茶】簡単なのにおしゃれ…!おもてなしに氷を浮かべて

クリーミーな緑の泡の中に浮かぶ氷が涼しげ。
クリーミーな緑の泡の中に浮かぶ氷が涼しげ。

スイーツや茶葉の健康成分がそのまま摂れると話題の「抹茶」。お湯で抽出して淹れる他のお茶と異なる抹茶も、簡単に冷たく涼やかにいただけます。
お湯で点てた抹茶に 「氷」を浮かべた冷抹茶は、鮮やかな抹茶の緑と氷が目にも涼を届けてくれます。暑い日のお客様に、さっと冷抹茶をお出しすれば、とっても簡単なのに最高のおもてなしに。また、生クリームを乗せて洋風にアレンジしても。コーヒーや紅茶もよいですが、お茶時間の新定番に、冷抹茶はいかがですか。

馴染み深い日常的な煎茶やほうじ茶、高級な玉露に話題の抹茶など。「日本茶」と言ってもその特徴はさまざま。淹れ方によって、またいつもと違った味わいが楽しめます。

  • 煎茶 渋みを楽しみたい時は「ロック」、甘みを引き出すには「水出し」がおすすめ。
  • 玉露 一滴ずつに甘みが凝縮される「氷出し」は極上の味。
  • ほうじ茶 「水出し」で淹れて渋みを抑えてすっきりと。
  • 玄米茶 「ロック」で特徴的な香りを活かした淹れ方
  • 抹茶 お湯で点てて「氷」を浮かべれば、ハイセンスなおもてなしに。

暑い日だからこそ、ちょっとひと手間かけて丁寧に淹れた冷たいお茶で、涼やかに過ごしてみませんか?

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取材・文=新見麻由子
にいみまゆこ●月刊『茶の間」編集部員。徳島県出身、歴史や文化、レトロなものに憧れて京都へ。休みの日は、散歩や自宅でお茶を片手に本を読みながらまったり過ごしたい。季節を感じる和菓子やお花に興味がでてきた今日この頃。